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「僕は・・・、僕の事は守らなくて良いですよ?」
「守るって決めたから無理」
透くんに言い、笑ってみせた
「・・・守らなくて良いんです。僕の傍にいてくれれば、それで、」
「透くん?」
「あ、いえ・・・」
独り言のように呟いた透くんに声を掛けると上の空の返事が返って来る
「透くん、今日のお仕事は?」
「今日は休みを貰って、ここに来たので面会時間が終わるまでいられますよ」
「そうなんだ。じゃあ、ゆっくり話そう」
と思っていたのだが、何故、俺がこんな風な怪我を負ってしまったのかという事を根掘り葉掘り訊かれて、それに加えて、お説教までされて、少し疲れてしまった
「聞いてますか?」
「聞いてない・・・」
ご飯を食べたのもあるのか、眠たくなって来ていた。目を開けているのも限界でウトウトと目蓋が落ちて来る。そんな中で返事をするのもやっとだった
「・・・疲れましたよね。寝ましょうか」
「うん・・・」
横になって、布団を被った
布団が気持ち良くて、目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。それからどれだけの時間、眠っていたのか分からないが、俺は目を覚ました
「おはようございます」
「あれ、透くん・・・?」
「はい。まだいますよ」
「・・・そっか。おはよ」
怪我をしたのは、額の辺りと目なので、それほど体を起こす事に苦痛は無いのだが、体を起こそうとすれば、透くんが手伝ってくれる
「そこまで弱ってないって」
「やりたいからやってるんですよ」
「そうなんだ」
「Aくんが寝ている間に果物を買って来たんですが、食べますか?」
そう言って、透くんはどこで買って来たのか、果物の沢山入ったカゴを取り出した
「うーん・・・リンゴは昨日、食べたからー・・・、バナナにする」
カゴに手を伸ばして、バナナを取った。バナナの皮を剥いて、口に入れる
「このバナナおっきいね」
「そ、そうですね・・・」
「どうしたの?」
小さく咳をして答えた透くんに訊いた
「何でもないですよ」
「そう?あー、ん・・・おいし、」
バナナはやっぱり美味しいな。それを食べて、透くんと話をする。寝る前とは違い、楽しい話をした。喫茶店の事や探偵業の事、透くんは色々話してくれた
今まで通っていた喫茶店がポアロという事を初めて知った。透くんが探偵として、凄く優秀な事を知った
そして、また今度、二人でどこかに出掛けないかという話になった
「前回はあんな事になってしまったので、今度は安全な場所に行きませんか?」
「安全じゃなくても良いよ。楽しければ」
楽しい事を前提に遊べる場所ならどこでも良かった
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時