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「母さん、怒ってた?」
「怒っていましたね。まぁそれはAくんにこんな事をした相手に対してだとは思いますけど」
「だと良いけど・・・」


こんな怪我をして、また怒られるような気がしてならない。心配させてしまったから、怒鳴られるような気がする

母さんは怒らせたら怖い


「あ、そうだ。昴くん、秀一に会ったよ」
「会えましたか。それは良かった」


頷いた返し、その時の事を昴くんに話した


「秀一って、顔は怖いけど良い人だね。今度はいつ会えるかな」
「会いたくなったら言ってください。私から伝えておきます」
「ありがと」


昴くんが帰るまで、そんな話をして病院で過ごした。昴くんは夜には帰ってしまい、一人の病室で読みにくいながらも本を読んでいた


「寝る時間ですよー」
「あ、うん」


看護婦さんに言われて、仕方なくベッドに寝転んで、布団を被った。眠りについて、次の日の朝、看護婦さんに起こされて、朝食を貰った


「Aくん!!」


朝食を食べていると大きな声と共に勢いよく自分の病室の扉が開いて、肩を揺らして、持っていたお箸を落としそうになった


「と、透くん?び、ビックリしたぁ・・・」
「す、すみません・・・。Aくんが怪我をしたと沖矢さんから聞いて」
「昴くんから?仲直りしたの?」


病室に入って来た透くんに訊いた


「僕の事よりも大丈夫なんですか?」


透くんは話題を逸らして、訊いて来る


「大丈夫。視力は落ちるって昴くんが言ってたけど、痛みは無いかな」
「視力が、」
「そうだ、透くん。片目の視力が悪くても警察官ってなれるかな?」


問い掛けると透くんは驚いたように目を開いた


「・・・目が悪くても警察官にはなれますよ。眼鏡等をして、1.0以上の視力があるのであれば、採用試験は受けられます」
「へぇ・・・透くんは物知りだなぁ」
「そうでもありませんよ。知ってる事しか知りません。それにしても、Aくんは警察官になりたいんですか?」


透くんの質問に頷いて返した


「なれると思う?」
「僕からはなれると思いますとしか・・・。でも、Aくんなら優しい警察官になれると思いますよ」
「本当?」
「ええ。僕の知り合いにも優しい警察官がいたので、きっとなれます」


そう言われて、反射的に透くんに訊こうとしたけれど、少し開いた口を閉じた。これは多分、訊いてはいけない事だと思った


「Aくん?」
「何でもないよ」


俺を呼んだ透くんに首を横に振って答えた


「絶対、立派な警察官になって透くんの事、守ってあげるからね!!」


訊かない代わりにそう言った

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時

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