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「き、君は・・・!!」


振り返ったイスに座っていた人物に驚きが隠せなかった


「久しぶり」
「萩原なのか!!?」
「まぁそうなるねぇ」


返事をする彼に近付いて、顔を確かめた

最後に会った時よりも、多少なりとも大人びた雰囲気が増しているが、その人は確かに僕の友人であった萩原 研二だった

しかし、彼は七年前の爆弾事件で殉職したはずだ


「驚いた?」
「お、驚いた以前に、君は、本物なのか・・・?」
「ま、そうなるよね。でも、俺は名字は違うけど本物だよ。俺の姉ちゃんにも確認取ってみる?」


どうやら、身内の方には既に話が通っているようで、存在証明は簡単に出来るようだった


「君が降谷くんの知り合いなのは分かったが、どうして俺まで呼んだんだ?回りくどいやり方までして」
「ああ、それは、赤井さんに会いたいと願う可愛い女性がいたものでして。入って来て良いよー」


萩原がそう言うと、一つしかない扉が開く音がした。扉の方に視線を向けると、開いた扉から一人、二人と人が入って来る。その顔ぶれに、僕は目を見開いた

赤井も驚いた表情を隠せていなかった


「明美、なのか?」
「うん。信じられないと思う。でも、私も萩原くんと同じで、本物なの」


赤井がこぼした名前に、彼女、宮野 明美は頷いた


「しかし、彼女は、」
「お姉ちゃんの証明は私がする」


赤井の言葉を遮って言ったのは、宮野 明美の足元から顔をのぞかせた灰原 哀さん、つまりは宮野 志保だった


「お姉ちゃんのDNAと私のDNAを私が調べた結果、私達は血の繋がりがあるっていう結果が出た」


彼女自身が調べたと言うのなら、それはかなりの信用が出来る。つまり、ここにいる全員が本物という事になる


「ひ、ろ・・・」
「久しぶりだな、ゼロ」
「んだよ、俺と伊達班長には何にもなしか?」


笑顔で僕の名前を呼ぶヒロらしき男性とは逆に、不機嫌な表情で松田らしき男性が、僕に問い掛ける


「どうして、」
「ゆっくり話そうぜ。今日はその為に、お前らを呼んだんだからな」


そう言われて、備えられたソファに座るように促されて、そこに座ると取り囲まれて、それぞれの話を聞かされた

それは赤井も同じで、宮野姉妹から色々な事を聞いていた

そして、今は全員がそれぞれの名字ではなくて、杜若(かきつばた)、と名乗っている事を知った


「杜若って、もしかして、杜若 Aさんの?」
「そう、その杜若。パチ屋で会ったって聞いたよ。身元不明の男を引き取るっていう形で、俺達を杜若の姓に変えた」


その方が生きやすいという事で、彼らはそれに同意した

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作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時

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