可愛い担当の友人の話【男主】 (ページ25)

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でも、Aさんは赤井がノックだと知っていた。だったら、出来る出来ないは置いて考えれば、細工をする可能性は高い

｢スコッチに使ったのも、シャンディと同じような弾だ。それなりの威力はあるが、死にはしない｣
｢･･･信じられない｣
｢そうか？可能性の理論で言うと俺は最適解しか選ばない｣

先に恩を売れば、それがいずれ役に立つときが来るのだとAさんは持論を述べた。それは、確かにその通りだった

安室透である自分自身も、使っていた手だからよく知っていた

先に人の為に何かをすれば、相手は自分を信頼する。それが人に何かをしてもらう事に何の不便も無く、滞りなく進む方法だ

｢さて、どうする？信じられないなら、二人で話して来ても構わないが？｣
｢･･･いえ、僕はAさんを信じます。今まで、僕の事を貴方は悪いようにはしなかった｣

それは恐らく、この時の為なんだろうけど、スコッチを失った時、ノックリストの時もAさんは僕の事を考えてなのか、医者としてなのかは分からないが、随分と生きやすかった

｢なら、この後の事は任せた。診断書は適当に書いて、火葬すればバレないだろ｣
｢適当ですね。向こうは土葬が主流ですよ｣
｢よく俺が日本国籍じゃないって分かったな｣

Aさんは笑った

｢なんとなくですよ。シャンディガフは赤井の所に行くのでしょう？｣

シャンディガフは赤井秀一を追い掛けるのだろう。だから、二人共、日本国籍ではないと思った

｢まぁそうだが、シャンディには時間を空けてもらう｣
｢ほとぼりが冷めるまでは、仕方ない。スコッチには借りがあるから、その分は返すよ｣
｢別にお互い様だろ。俺も助けてもらった訳だから、気にすんなって｣

スコッチはシャンディガフに笑って答えた

それだけで、胸につっかえていた何かが取れたような気がした

｢そう言えば、二人の名前は一体？｣
｢俺達？｣

訊き返されて、頷くとAさんとシャンディガフは顔を見合わせた

｢俺達はスターチスだよ。シャンディはスターチスって呼べば良い。黄閖は偽名だが、Aは本名だ｣
｢同じ名前なんですね｣
｢それで仲良くなった。人に声を掛けるってそんな難しい理由は無いと思うぞ、降谷くん？｣

いきなり自分の本名を呼ばれて、心臓が跳び跳ねた

｢悪いな。景光くんから話は聞いてる｣
｢なんだ、そういう事か･･･｣

チラリとスコッチを見ると両手を合わせて、こちらに向かって謝っていた

｢あ、この事はここだけの内緒な｣

Aさんが僕達を見て言った