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フードを目深に被った相手の顔は見えなかったが、どことなく見覚えがあるような感じがした
声を掛けられるような雰囲気でも無くて、ずっと無言だった
暫く、救急車は走り続けて速度を落とし、停まった。ドアが開いて、Aさんが顔を覗かせた
「そのままストレッチャーごと出て、ついて来い。死亡診断書を書く」
「・・・分かりました」
彼の言う通りに救急車を出て、ストレッチャーを押した
「あ、ありがとうございます」
手伝ってくれているもう一人の搭乗者にお礼を言うと頷いて返された
特に走る様子もなく、Aさんは病院の中を歩いて行く。それについて行き、一つの部屋に入った。そこには誰もおらず、僕達だけだった
「閉めてくれ」
最後に入ったもう一人にAさんが言い、部屋のドアが閉まった
「良いんですか?遺体を持ち出して」
「言い訳ぐらいいくらでも思い付く。死亡診断書は医者の俺が書けば、嘘でも本当になる」
「それってどういう、」
訊く前に彼はシャンディガフの胸に何かを刺した。それは注射器だったようで、中身がシャンディガフの体の中に入った
何をしているんだ、と思っていた瞬間だった
「げほっ、げほ・・・っ」
シャンディガフが息を吹き返して、大きくむせ返ったように咳をした
「これは、一体・・・!!?」
「俺がシャンディを殺すとでも?そっちのに協力してもらったお陰だけどな」
チラリとAさんが見たのは、ドアの付近で立っている救急車に乗っていた人だった
「大丈夫か?シャンディ」
「だ、大丈夫。ありがとう・・・」
体を起こしたシャンディガフは苦しそうに呼吸をしていた
「作戦は成功だ」
「本当に・・・?」
「まだ少しあるが、シャンディが心配する必要は無い。こっちには協力者がいるからな」
Aさんは、今度は僕に視線を向けた
「僕が?」
「安室には、シャンディが死んだと言ってもらえれば、それで良い」
「僕から良い返事が聞けるとでも?」
「思ってるさ。なぁ、スコッチ?」
そう言われて、僕はドアの付近で立っている人の方を見た。フードを取ったその人は、二年ほど前に命を落としたはずのスコッチだった
「お前、なんで・・・ここに・・・っ」
「Aさんに助けられたんだよ。俺は」
言葉が上手く出て来なかったけれど、目の前にいるスコッチはちゃんと答えてくれた
「Aさんに・・・?」
「そうだ。ライが持っていた銃に細工をしていたらしくてな。それで俺は助かったんだ」
話があちらこちらに飛躍し過ぎて頭が痛くなった
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時