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「・・・帰ろうか」
「ワン!!」


Aと共に自宅まで帰った


「僕はこれからは仕事だから、留守番を君に任せるよ」
「ウゥ」
「嫌がらないの。良いかい?僕の代わりに人が来るけど、咬んだりしてはダメだよ。メガネを掛けた男って分かるかな。この部屋の鍵を開けた人が、その人だから仲良くしてあげてね」
「ワウ」


不服そうな顔をしているようにも見えるが、見なかった事にしよう。Aを部屋に置いて、仕事に向かった

その後、風見から連絡が来た

理由は分からないが、Aに物凄く辺りを回られているらしい。時折、臭いを嗅がれて、あまり動けないらしい


「ただいま」
「ワウ!!」


自宅に帰るとAが傍に来る。周りをぐるぐると回り、臭いを嗅いでいた


「風見、Aの様子はどうだった?」


部屋の中にいた風見に訊く


「大人しくて良い子でした。ただ、自分はあまり好かれていないようで・・・」
「そうなのか?」
「ワフゥ・・・」


Aの方を見れば、溜め息にも似た返事を貰う。しかし、好かれていないとは言うが、嫌っているような反応でもないので、気にるような事でもない

どことなく、風見を自分より下に見ているような感じがあるだけだ


「彼をありがとう。今後も頼むから、仲良くしてやってくれ」
「わ、分かりました。よろしく頼む」
「フンッ」


鼻を鳴らして返事をしているものの、風見の差し出した手に、ちゃんと手を重ねている。どうやら、友好関係は築けている様子だ


「では、自分はこれで」
「ああ」


風見が部屋を去り、Aは床に伏せる


「ご飯にしようか」
「ワウ」
「ははっ、お疲れ様」


床に伏せるAの頭を撫でた

病院に行き、風見にも出会った事で疲れてしまっているのだろう。気疲れというか、何と言うか、犬にそんなものがあるのかは分からないけれど

共感性が高いのか、Aは普通の犬よりも考えている事は多そうだった


「今日はちゃんとご飯買って来たから」
「ワンワンッ」
「元気になったな」


Aはご飯の話をすると、体を起こした。催促をするように、また周りを回り始める

自分の分の食事を作ってから、Aの器に買って来たご飯を入れる。待ちきれない様子で、器の中を見ているが食べようとはしなかった


「ちゃんと待てて偉いね。よし、良いぞ」
「バウッ」


Aは一声の後にご飯を食べ始める。それを見てから、自分も食べ始めた。僕が食べ終わる頃には、Aは既に終わっていたけれど、姿勢の良いままに止まって、僕の方を見ていた

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作者名:空白可能 | 作成日時:2022年10月11日 23時

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