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｢ううん、大丈夫だ。バーボンは悪くない｣
｢しかし、｣
｢大丈夫だって言ってるだろ!!｣
｢･･･すみません｣
怒鳴ったカーディナルに謝った
｢一人に、させてくれ｣
｢分かりました｣
部屋を後にして、今後の事を考えた。列車にいたあの男についての事を。ベルモットにも協力してもらって、赤井 秀一の最期を調べ始めた。そして、自分が望んでいた、信じていた通りの結果が手元に残った
赤井 秀一は生きている
｢楽しそうだな、バーボン｣
僕が見ていない間に、いつもの調子が戻っていたカーディナルが僕に言った
｢何かイキイキしてる｣
｢そうですか？｣
そう言ったものの、実際はそうなのだろう。赤井 秀一を追い詰める事が出来るのだから。憎くて仕方ないアイツの事をこの手で追い詰められるのだから
｢無理はするなよ｣
｢分かってますよ。カーディナルも｣
｢僕の事は良い。なぁ、バーボン。包帯、替えてくれよ｣
｢え、･･･あ、はい｣
自分の事で手一杯で忘れてしまっていた。彼の事を見ているのも、包帯を替えるのも僕がやらなければならない事だった。カーディナルの傷は僕が見ていない内に随分と治って来ているのだが、まだ塞がり切っていない
｢痛くはありませんか？｣
｢痛くない。もう大丈夫だ｣
彼と話をしながら包帯を替える
二年が経ってもカーディナルの体は成長していない。本当に時が止まってしまったような感じだ。組織に両親の命を奪われた日から、きっと彼の時間は止まっている。僕が憎しみを抱いた時のように
｢終わりましたよ｣
｢ありがとう｣
｢それでは僕は私用があるので｣
｢分かった。気を付けてな｣
｢はい。では｣
カーディナルと別れて、僕は赤井 秀一を捕らえる為に動き始めた。結局、赤井 秀一を捕まえる事も出来ず、こちらの正体を知られてしまう結果となった
｢くそ･･･っ｣
握り締めた手の平を苛立ちのままに壁にぶつけた。手は痛かったけれど、それ以上に自分の中にある何かが物凄く痛かった。呼吸がしづらかった
｢バーボン？｣
ふとした声に顔を上げる。声のした方を見ればカーディナルが立っていた。組織に戻って来ていた事を忘れていた
｢どうした？こんな所で･･･って、お前、怪我してるじゃないか!!｣
｢あ、えと、これは･･･｣
近くに来た彼は僕の手を取って驚いたように言う。軽いものなので、あまり気にしなくても良いと言ったけれど、彼は話を聞いてくれなかった
彼に引っ張られて医務室に連れて行かれ、医務室に座らされて、イスに乗って救急箱を取っている彼の事を見詰めた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年12月12日 0時
