風見さんの新しい部下【男主】 (ページ29)

今日:18 hit、昨日:20 hit、合計:242,025 hit

２７ページ29

｢多分、中身は大丈夫だと思います｣
｢いや、君が大丈夫じゃないだろう!!?｣
｢大丈夫ですよ。帰って風呂に入りますので｣

急いで帰れば、風邪なんてひかなくて済むだろう

｢入れ｣
｢はい？｣
｢中に入れ。風呂ぐらいは貸す｣
｢えー、でも･･･｣

断ろうと思えば、物凄いジト目で睨まれた

｢･･･お邪魔しまぁす｣

断れる事でも無いので、部屋に入らせてもらった

｢服は用意しておくから、その辺で脱いで、さっさとシャワーを浴びて来い｣
｢はーい。お借りします｣

洗面所で濡れた服を脱いで、風呂場に入った

｢ひぇー、温かい･･･｣

お湯を出して浴びるシャワーは温かくて気持ちが良い。降谷さんの家でなかったら湯船に浸かって、ゆっくりしたいところだ

ここは自分の家ではないので、降谷さんが言っていたように、さっさと出てしまおう

風呂場から出ると既に服が置いてあって、本当に仕事が早い人だな、と思った。それに何の足音も聞こえなかった

用意された服を着て、扉を開けた

｢シャワー、ありがとうございました｣
｢出て来たか｣
｢はい。じゃあ、自分はこれで、｣
｢こんな雨の中、傘も差さずにか？｣

降谷さんに言われて、外を見ると先程の雨は集中豪雨ではなく、本降りの雨だったらしく、止みそうな気配はなかった

｢僕の服を着たまま、雨の降る外に出ないでくれよ｣
｢･･･はーい。でも、する事ないじゃないですか、この家｣
｢君は随分、失礼な事を言うんだな｣

辺りを見渡しても何もない。奥の部屋にも何も無さそうだ。ベランダには家庭菜園なるものが見えるが、それでは遊べない

｢何か遊べるものを恵んでください｣

作業中の降谷さんにそう言うと溜め息を吐いた

｢向こうの部屋にギターがあるからそれで遊んでいろ｣

溜め息を吐いた降谷さんは俺の事を呆れた顔をしながら言った

｢触っても良いんですか？｣
｢･･･どういう意味だ｣

呆れた表情から一変して、怖い顔になった

｢意味も何も、あれは降谷さんの大切なものですよね？それに俺が触っても良いのかな、なんて思ったり｣
｢根拠は？｣
｢この部屋には、目立った無駄な物がありません。それを踏まえて考えるとすれば、無駄な物に入るギターは大切なものなんでしょう？｣

無駄な物と言った時、降谷さんは俺の事を睨んだが、一般論からすればの話であって、その人の思い出自体を否定している訳ではない事は伝わっているらしいので、何も言われなかった

｢確かに、君の言う通りだ｣
｢だったら、俺なんかに触らせても良いんですか？｣

再度、降谷さんに訊いた