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「あー、終わんないぃ」
「やればその内、終わる」


降谷さんの活躍で、男の所属する組織が分かったので、数日で解体する事は出来たが、その時に起きた制圧戦で被害が多く、始末書ものになった


「今回は俺のせいじゃないのに・・・」


始末書と向き合うのが嫌で、ガンと額を机にぶつけながらぼやいた


「そうだな。頑張れ」
「風見さんが冷たい。頑張ろう・・・」


さっさと終わらせて病院に行かないと。そう思って目の前の事に集中出来た。仕事中もお構いなしに病院から電話が掛かって来る。流石に現場に出てる時は無理だが、今なら出ても大丈夫だろう

無線のイヤホンを片耳にして、通話ボタンを押した


「もしもし?」
『やっと出た!!』
「ごめんごめん。忙しくてさ」
『今は?』
「仕事中。でもま、通話しながらでも出来るから、出てみた。声も聞きたかったし」


向こうにいる彼女にそう言って答えて、少しの会話を楽しんだ。なんでも、俺に電話をしていたのは、退院の日付が延びてしまうらしい事を伝えたかったからだという


「そっか。分かった」
『ごめんね。折角、海外に行く約束したのに』
「良いよ。行こうと思えば、海外なんていつでも行ける」
『ありがとう。じゃあ、そろそろ切るね。お仕事、頑張って』
「ああ、ありがとう。またね」


通話を終えて、イヤホンを耳から外した


「恋人か?」
「いいえ、違いますよ」


通話が終わった途端に話し掛けて来た風見さんに答えた。彼女は恋人なんていう良い関係ではないと風見さんに伝えておいた


「病院、いつ行けるかな・・・」
「・・・怪我は大丈夫か?」
「俺の怪我はかすり傷ですよ。俺じゃなくて電話の相手が入院してまして」


電話の相手の事を軽く風見さんに教えてあげた


「事件に巻き込まれて、か」
「そうです。最近になって目を覚まして、休みに海外にでも行こうって話してたところです」
「良いな。良い気晴らしになるだろう」
「はい。その為にも頑張らないと」


笑って風見さんに返し、再び目の前の事に集中する。今日中には終わりそうも無いけれど


「薫衣」
「何でしょう?」
「制圧戦の時は、すまなかった。俺のせいで、お前に怪我をさせて」


俺に声を掛けた風見さんに返事をすると、風見さんは謝った

実は組織の制圧戦の時、風見さんが狙撃手に狙われたのを俺が庇ったという事があった。それは本当にかすり傷で、気にする事もないのに、風見さんは律儀に何度も謝って来た


「良いですよ。本当、かすり傷なので」
「しかし、」


どうにも引き下がらない風見さんに一つ、提案をした

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作成日時:2019年11月3日 21時

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