【usss】溺愛ワンナイト・ラブ

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「はぁ―――･･･」
「どうしたの、桃ちゃん？良ければ話聞こっか？」

桃ちゃんのため息の理由は大体察しているし、その元凶は私なんだけど、可愛い後輩が朝からテンション低いのを見過ごせるほど薄情な人間でもないから。カフェラテを２人分淹れてデスクに帰ると、ありがとうございますというお礼の声は弱々しかった。

「まさか自分がここまでわっくんの交際宣言で落ち込むと思っていませんでした･･･。前に熱愛疑惑が報じられたお相手なのに。若葉ちゃんの時は結局最後まで明言しなかったのに今回公表したってことは、報告文通り真剣交際なんだ･･･」
「私は推しいないから分からないけどさ、そういうのってなかなか受け入れられないものなんじゃない？だからちょっとずつ気持ちを整理していったら良いと思うよ」

私もまさか、公表に踏み切るとは思わなかった。それで随分事務所とは揉めたみたいだけど。

『もうこれ以上大切な人を失いたくない。若葉の時はアイドルの浦田渉のことばっか気にしてたけど、今度は高橋渉として、幸せを掴み取りたいんだ』

関係を公表させて欲しいと言われた日の言葉がふと頭をよぎった。若葉ちゃんだって、夜遊びしちゃうくらい、ずっとあの海に通い詰めるくらい好きだったはずなのに、そのポジションが私で良いのか、今でも疑問ではあるけど。

「そんな落ち込むなよ桃井ー。桃井と雨夜は今日の飲み会どうする？桃井は決まりだろ？」
「行きます！飲みまくります！！」
「すみません、私は先約があるのでまた別の機会に」
「了解！雨夜、折原と別れたのに付き合い悪いなー？もう彼氏こしらえたのか？乗り換え早いねー」

人聞き悪いなぁ。あながち間違ってはないんだけど。









会社から少し歩いた先に停まる黒塗りの車。左の後部座席に乗り込むと、ひらひらと手を振って渉君が出迎えてくれた。

「お仕事お疲れ様。今日は外食か家か、どうする？」
「それより･･･私、事務所の車乗って本当に良いの？」

マスコミ対策として、事務所の車で送迎してもらっているんだけど申し訳ないんだよね･･･。

「この方が堂々と通勤中もイチャつけるし良いんじゃね？俺は１秒でも長くAと一緒にいたい」

そう言ってときめかせて、私の隙を狙って運転手さんがいるにも関わらず抱き着いてキスする渉くん。そんな計算高いところも好きなんだけどね――

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