海色の涙に別れを告げて ページ4
🍸️ 🍸️ 🍸️
やっぱり誰もいないよね、こんな所。いなくて良いんだけど。会社帰り、向かったのは夏樹くんと出会った海。静かな夜に響くさざ波の音で、緊張した心が少しは和らいだ。今日は少し風がある。私は会社の時はくくっているポニーテールをほどいた。まだスーツを着ているから完全にとはいかないけど、それだけでも解放感がある。しばらく髪をなびかせながら浜辺で波の音を堪能していると、聞き慣れた声が波の音をかき分けて耳に入った。
「ここ呼び出して、どういうこと？一緒に心中しよーって？」
言葉に棘があるだけじゃなく、どこか疲れきった様子の夏樹くんが、道路から浜辺に降りてきた。連絡が1番頻回だったのは、彼だった。やつれるほど私を心配してくれていたのか、単に仕事が忙しかったのか。期待して良いかな。
「そんな気は全くない。ただ、どうしてもここが良かったの。ここで過去とさよならしたい、新たな1歩を踏み出したいと思って」
「･･･そっか、お元気で。センラとお幸せに」
ちょ、なんでそうなるの！？私に背を向け歩きだした夏樹くんの腕を掴んだ。夏樹くんがどう思うかは分からない。でも聞いて欲しい。
「待って！月が綺麗だねって言いたかったの。アイドルの夏樹くんと一般人の私じゃスケジュールも価値観も合わない部分があると思う。でも見てみたいんだ、夏樹くんと一緒にいる未来を」
歩みを止めてくれたものの、振り返らないし何も言ってくれない。忙しいのに呼び出して、勝手なこと言って怒っちゃったかな。夏樹くんの肩が小刻みに震えている。夏樹くんの正面に回り込んでみると、
「馬鹿、見んなよっ･･･」
目から大粒の涙が溢れていた。きっとしんどくて、溜め込んでた分もあるのかな。私はそんな夏樹くんを抱き締めた。夏樹くんも、ぎゅうっと私の背中に手を回す。
「連絡取れなくて、もしかして自ら死んじゃったのかなとか、センラと復縁したのかなって、怖かった。やっと連絡来て、告白されて･･･なんか我慢できなくて、っ、あーヤバい無理」
それ以上言葉が出てこないみたいで、泣きじゃくる夏樹くんを私はしばらく抱き締めた。ちゃんとした返事じゃないけど、これって告白成功ってことで良いんだよね？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜翠(プロフ) - 凛月花さん» 時間作って参加するね！snrさんはスパダリ1位だからね！smさんは推しってのもあると思うけど、私だったら日頃の気休めの相手になってくれるから、かな(←言い方思いつかない)。くつろげる的な… (2023年3月3日 22時) (
レス) id: 5b8c9001d0 (このIDを非表示/違反報告)
凛月花(プロフ) - 桜翠さん» 私の説明が悪かった説はある() また開催する予定だから、良かったら参加してね！私も自分があの立場ならsnrさんか、smさんかな。snrさんスパダリだよね！smさんはなんでだろ、なんとなく() 推しだからかな？w (2023年3月2日 23時) (レス) id: 0c2f64d9cf (このIDを非表示/違反報告)
凛月花(プロフ) - ソテツさん» いつもコメントありがとうございます。いつもあたたかいコメント下さるので本当に嬉しいです！企画、楽しんで下さりありがとうございます！しかも読み返しまで･･･。今後も期待して頂けるような作品を書けるよう頑張ります！ (2023年3月2日 23時) (レス) id: 0c2f64d9cf (このIDを非表示/違反報告)
桜翠(プロフ) - 凛月花さん» 挑戦状の意味がようやく分かった…馬鹿がここにいます←。しかもタイトル変わってるの、確かにそうだね！？あまり気にしてなかったかも…。色々考えられてるんだなぁって改めて凄いなって思った！もし自分が主人公だったらsnrさん選んでたなぁ… (2023年3月2日 22時) (レス) @page9 id: 5b8c9001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ソテツ(プロフ) - 凛月花さん» 短編集じゃなくてもなんでも私的には需要大ありです。 コメントしませんでしたが、sktさんは「ダーリン」urtさんは「人魚」で「あぁぁ！！（分かった）」とにやけてました(笑) 桃井ちゃんやっぱり！大分後半で引っ掛かりを覚え、ビトバトを読み返しましたもん！ (2023年3月2日 20時) (レス) @page9 id: 6edb471501 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
