【usss】出来合いワンナイト・ラブ

もう１度隣にいられたら ページ33

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雑用を押し付けられ、結局定時を過ぎてしまった。しかも残業していた間に雨が降り出して、頭がガンガン痛い。早く帰ろ！営業部の前を通り過ぎようとすると、まだパソコンのタイピング音が聞こえる。今営業部は多忙だからそれ自体は不思議じゃない。ただ、１台分のタイピング音の気がする。もしかして･･･。私の予想は的中した。１人で残って作業しているのはセンラくんだった。

「皆帰ってるのに、まだ残業してるの？」
「A･･･！明日からが正念場やからって皆帰ったわ。家でもできる作業やけど、なんとなく帰りたくなくて」

そういえば、センラくんってどんなお家住んでるんだろ。交際中、私の家でのおうちデートは何回もあったけど、センラくんの家に連れて行ってもらったことは一度もなかった。きっと綺麗にしてるんだろうな。想像はいくらでもできるけど、やっぱり行きたかったな、おうち。そうしたら少しは２人共通の趣味とか、新たな発見があって別れずに済んだかもしれないのに。

「そんなに自宅に帰りたくないなら来る？私の家。この前の繁忙期にコンビニ弁当とかスーパーの総菜とか買い込み過ぎちゃって。消費、手伝ってよ」
「じゃあ向かいのセブイレでお酒だけ調達してお邪魔させてもらおかな。晩ご飯作るのめんどなってきたし」

センラくんは昔のよしみくらいにしか思っていないのかな。私はまだ･･･誘いを断られなかったことに浮かれちゃってるのに。










「私食器洗っとくから、先お風呂入って良いよ」
「雨の日やのに、今日は全然甘えてこぅへんね。うらたんに甘やかしてもらっとん？」

そういうこと一々聞かないで欲しい。こっちがどれだけ気を揉んでるか知りもしないで。私はその問いに無視して、別の答えを口にした。別に100％嘘ではない。

「すごく疲れてそうだから、さすがに私もそこまで子供じゃないよ。ちゃんと弁えて行動するの、今は。確かに付き合ってた時はセンラくんの体調とか気持ちとか考えないで頼ってごめん」
「･･･俺が知らん間に、えらい大人になってんね。ほな先入らせてもらうわ」

私はまだ彼の着替えを元の場所に置いている。それをさらっと取って準備したセンラくんが洗面所に消えてから、私は膝から崩れ落ちた。洗面所にいるセンラくんに聞こえないよう、声を押し殺し、部屋着に次々と雫が落ちる。背伸びしているだけで、私はあなたのことを忘れられないくらい子供なんだよって言えたら楽なのに。

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