Bouquet of love -Another- (ページ6)

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…あれから

約1年が経とうとしている。

寒かった季節は、過ぎ去って

アルバムが出たり、

ツアーが始まったり、

仕事はいつも通り忙しくて

目がまわるくらい。

気づいたらまた、寒い季節が巡ってきた。

.

.

…でも、俺も誰かのためになりたいって

その一心で、この一年は頑張れた。

あの時、何もできなかったから。

せめて自分が誰かの役に立てる場があるなら

精一杯、やりたいって。

そのきっかけとなったあの子には

もちろん会えるわけもなく。

.

.

…この1年で、

気づいたことがある。

俺はあの時、彼女に

あの姿に、一目惚れしてたんだ。

あれからしばらく

ずっと頭から離れないのは

何にもできなかった自分への

罪悪感だって、

そう思ってた。

.

.

でも、

時間が経つにつれて

さらに濃く、強く頭に浮かぶのは

出来事の方じゃなく、

彼女の姿だった。

.

.

正直一目惚れなんて、

人生初で。

今まで何人も彼女はいたし

それなりに女の子との経験はある。

…でも全部、相手からで。

好きって言われたから、付き合ってみよ、

みたいな。

俺から好きになったり、

そういうことは、一度もなかった。

.

.

だから、

もう会えないとはわかってても。

どうやって忘れたらいいのかすら

わからなくて、

時間が経つにつれて

どんどん、あの子への思いが溢れて。

…って、

喋ったこともないのに

相当きもいよな。

忘れたいようで

忘れたくない。

諦めの悪いこの気持ちの

行き場がどこにもなくて。

でも

.

.

「橋本さーん、

今日はコンビニでおろして」

マ「了解です。」

.

.

この時、そのまま家に帰ってたら

君ともう一回

会えることはなかった？

.

.

「…え、」

.

.

コンビニから出て目に入ったのは

ちょうど俺んちの目の前の

見慣れたマンションに入っていったのは

あの日から、ずっと頭から離れなかった

あの子だった。