Day03 ページ3
『そう！お客サマ観客サマ読者サマ！焦りは禁物、フィナーレに相応しい「演目」を！』
意味の解らない羅列を捲し立てる仮面の男は、それでも向井と同じ訛りで同じ姿で同じ声をしていた。
開演ブザーが鳴る音がする。暗転された舞台に木霊したのはラウールの声だった。
先程の舞台とは違って、装置は何もない。
素舞台と、照らす極彩色の照明だけの空間で、またも見慣れたメンバーは何かを演じている。
童話を象ったらしい不思議な力と、代償のお話。
やっぱり自分と「彼」の姿はない。
…いいや、何かが違う。妙な、違和。
例えば、それは不自然なくらいに開けられた台詞と台詞の間だったり。
例えば、それは不自然に誰もいない場所を照らすピンスポットだったり。
まるで、何かが欠けているような、それでいて尚キャストはそれに気付かずに、いいや何もトラブルは起きていない風に演じ続けている。
…役が、足りていない？
もしそうだとしたら、じゃあ足りていないのは、
『ねぇ、僕はこの小さな「ハコ」から出られないの？早く逃げたいよ、ねぇ、』
こちらに訴えかけるようにラウールが台詞を紡ぐ。
舞台上の彼と目線が交わる、助けようと伸ばした手は、パチリと何かに遮られる。
『お客サマは、この舞台には上がれへんよ？』
いつの間にか傍にいた、あの仮面の男がにっこりと微笑む。
『僕ら全員演じて、【XXXXXX】に向かってゆくんだ。それしか方法がないから』
またノイズ。あぁ、意味が解らない。
『Choose![E]or[G]?』
仮面の男はクスクスと嗤う。睨みつけると、宥めるように声を漏らした。
『そんな怖い顔しんといてや。…安心しぃ、みんな必死に役を演じる。傍観者はどこにおらんよ。君も、…あぁ、俺から言えるのは、ここまでや』
そう言い、彼はその右手を高く上げ、指を鳴らす。
『ほうら！早よ次の「舞台」にいそぎぃや！「彼」に、「■■」に逢いに行く為に！』
途端、舞台上は大量のスモークに包まれた。
煙が少しづつ晴れ、やっと視界がままなってきた時、舞台もあのよくわからない仮面の男も先程と同じように消え去っていた。
理解しようとすればする程頭がこんがってくる。やはりこういうのは向いていない。
走って走って、薄々そんな気はしていたが、また「舞台」が見えた。
東洋を思わせるような、「和」の舞台。
2回同じ事が続けば、やはり同じような行動を取ってしまう。
半分慣れたように、自分は舞台上へと目を移した。
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ゆづ - やばいです…。思い出してこれだけでも泣きました (2020年8月28日 22時) (
レス) id: deb2d46d42 (このIDを非表示/違反報告)
湊都(プロフ) - そら。さん» ご指摘ありがとうございます！ (2020年8月26日 7時) (レス) id: 9124562c1c (このIDを非表示/違反報告)
そら。 - Day 5のところなんですが、和風の世界の主役は『目黒と向井』ではないのでしょうか…？間違っていたら申し訳ありません (2020年8月26日 6時) (レス) id: c6c4969a03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年8月22日 14時
