Day02 ページ2
こんなところに現れた「舞台」が気になって、出し物を覗くようにそちらへと目を向ける。
ゴテゴテとした、退廃的なイメージを彷彿とさせる舞台装置。
銃声や爆発音のSEの、チカチカと目まぐるしく変わるゼラの入ったPARライト。
顔が朧な役者たちの手には小道具の銃やナイフが握られていて、その狭い舞台上を駆け巡っている。
まるでギャングスタのような世界だ。
「えっ」
それを見ていると、見覚えのある、いいや見覚えしかない人物が姿を現した。
地明かりが強まった照明に転換された舞台上に立っているのは、宮舘と渡辺の姿。
「何で、お前ら！」
そう叫んでも、どうやらこちらの声は聞こえていないらしい。
その舞台は宮舘と渡辺を主軸に進んでいる様だった。
阿部や佐久間、向井、目黒、ラウールまで、全員見慣れない衣装を着て、「舞台上」で「何か」を演じている。
まるで洋画を見ているような軽快さとブラックジョークの飛び交う「演目」は、自分の動揺などに一切気付く様子もなく続いている。
『ねぇ涼太、俺らいつの間にか外野にいてさ、「君にはきっと無理なんだ」ってそんなガヤばっかり飛ばしてきたんだよね。それって本当に正しい事なのかなぁ？』
『さぁ？ここに正解も不正解もある訳がない。あったら俺も翔太も、存在自体が「不正解」になるでしょ？』
『でもさ、不思議に思っちゃうじゃん』
『不思議に思ってもどうにも出来ないよ。みんなそう思ってるさ。皆必死に自分を守って、いつか来る救いの手を待っているんだよ』
されど、舞台上に、自分と「彼」の姿がない。
増える疑問点に、「彼」の姿を見つけられれば全てわかるのだろうかと、終わりがわからない舞台から目を逸らし、果てに続く白の中を進んでいった。
『所詮、この■■■■の主役は俺たちじゃないんだから』
そんなノイズがかった台詞が聞こえてパッと振り返る。
先程まであんなに喧しく聞こえていた音響も、目が痛くなるほどの照明も、うるさく見えていた立派な舞台装置もすっかり消え去っていた。
「……何だよ、今の、」
全くもって理解しがたい状況に更に頭を悩ませながら、男は白の中を歩く。
続く先にはまた「舞台」があった。今度は律儀に観客席まで用意されていた。
『あぁ、あぁ！お客様、どうぞ足を止めて、観て行ってくださいな！』
通り過ぎようとすると誰かに呼び止められる。
平凸ライト1台のスポットライトに照らされた、向井によく似た顔の半分を仮面で覆った青年が、男を座るように促した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 964人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆづ - やばいです…。思い出してこれだけでも泣きました (2020年8月28日 22時) (
レス) id: deb2d46d42 (このIDを非表示/違反報告)
湊都(プロフ) - そら。さん» ご指摘ありがとうございます！ (2020年8月26日 7時) (レス) id: 9124562c1c (このIDを非表示/違反報告)
そら。 - Day 5のところなんですが、和風の世界の主役は『目黒と向井』ではないのでしょうか…？間違っていたら申し訳ありません (2020年8月26日 6時) (レス) id: c6c4969a03 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：湊都 | 作成日時：2020年8月22日 14時
