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26話【紅優歌】 ページ27

優歌はなんとか…という状態ながらも『タイムクロック』を倒すことに成功した。
自身の傷を治した後、誰かいないかと走る。
探している中で地面に誰かの血がついているのに気付く、それは木陰まであった。


「副会長…さん?」
「……」


副会長さんと呼ばれた『神宮愛』は何処を見ているのか分からない。
虚ろな目と、酷い怪我をしていた。


「な、治しますね…?」


そう言葉を発しても、愛はなにも応えずにただただ魂の抜けた人形のようになっていた。
傷が癒えていく中で優歌がなにを言っても愛は応えなかった。
その代りに発した言葉は、


「大事な人、いなかったの」


そんなこと、あるはずないでしょう!と優歌は大声で叫ぶように言う。
愛がみたように優歌も幻覚をみた。
あの日々の儚く、美しかった鳥籠のお姫様のように扱われていた幼き頃を。


「私は、守れなかった。死なせてしまった。仲間を、育て親も、みんな、みんな…」


優歌の目に宿る後悔と懺悔が入り混じった感情に愛は気づく。
愛は微笑みながら


「私も、守れなかった。大好きな、姉さんと兄さんを」


そう涙を流しながら言う。
噓で塗り固められてきた愛。
その嘘の原点は、罪悪感によるものなんだ、と優歌は知る。
愛の傷が全て癒えた。優歌は手を差し出す。


「みんなきっと、誰かを守れなかったんです、その人を愛していたんです、大好きだったんです。
でも、失ってしまって…みんなどこか欠けちゃったんだと思います。
この世界は、酷いものですね」


そう笑う優歌の目は笑っているようには見えなかった。
初めて愛は紅優歌という人間に恐怖以上のなにか、を感じた。

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白雪(プロフ) - 終わりました (2017年4月25日 13時) (レス) id: e5d654330e (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 更新します (2017年4月25日 12時) (レス) id: e5d654330e (このIDを非表示/違反報告)
キリト@(プロフ) - 終わりました (2017年4月25日 10時) (レス) id: 2971bfffa5 (このIDを非表示/違反報告)
キリト@(プロフ) - 更新します (2017年4月25日 10時) (レス) id: 2971bfffa5 (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 終わりました (2017年4月24日 23時) (レス) id: e5d654330e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キリト@ x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年4月18日 18時

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