【募集企画】私立フィジタリア学院【小説】

12話【神宮愛】 ページ13

あのあと、報酬を貰ったはいいが、使い道が分からず寄付した。
これも『良い人』を演じる上で大切なことだと思うし、なにより本音は使い道が思いつかない…だし。


「少しくらい…いいよね」


そう生徒会室に入り、資料を漁る。
そこで見つけたのは一年前の資料の一つだった。
クエスト名はそのままで『洞窟への薬草採り』


「ランクはCのはず…」


だが、そこに書かれていたのはそのクエストに出てくるモンスターの詳細だった。


「『モンスターランクはSだとされる。基本は動かずに寝ている為…」


だが、起きたら危険である。』つまり、このクエストは元からSランクに上がる危険性はあった。
でも先生方はそれを見逃して…Cと偽り、昨年負傷者が出た、ということか。
負傷者は2年生の女の子、1週間の昏睡状態と全治1カ月の怪我を負ったらしい。
見つけたのは偶然通りかかった学園内の生徒…かぁ。


「…こっわ…」


私はなんだか気分が悪くなり、その資料を見なかったことにしようと、すぐさま生徒会室から出て行った。
生徒会室から出て、保健室へ行けば例の女の子が泣いていた。


「どうかしたの？」


ふんわりと笑いかけ、ハンカチを渡す。
その子はハンカチを受け取り、「お願いがあるんです」と話を持ちかけてきた。
『お願い』それは聞かなきゃよかったと私は後悔した――――


・・・・・数十分後・・・・・

「会長！！」
「あれ、なんで君が…」
「申し訳ありません！…その、紅さんが…」


私は天王寺蓮がいるのにも関わらず無我夢中で説明した。
あの子の、紅さんの『お願い』は『クエストに同行すること』もちろん、私は気にせずにOKした。
先生方も、私が一緒なら…とクエストを受理した。
だが、先ほどの『神水の河辺』まで行くと、紅さんが消えるように何処かへ行ってしまった事。


「私一人では道が分からないので…一度戻って報告を…」


紅さんに何かあったら―――……
私は罪悪感で押しつぶされそうだった。

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