1.2 ページ16
我慢してるのバレてたんだ。なんか恥ずかしい。少し俯いていると、いつの間にか銀が側に戻ってきていた。
「A〜、帰るぞ〜」
銀に手を取られて、店を出る。一人の人間以外、全員倒れている。立っている人はいい人なのかな。
「店長に言っとけ、味はよかったぜ」
あの人店員さんなんだ。銀時が声をかけたのは、眼鏡をかけた大人しそうな少年。
ん?銀の木刀が無くなってる。置いてきちゃったのかな。
***
「はい。Aちゃん、メットつけようね」
銀にヘルメットをつけられ、バイクに乗る。
「A〜。やっぱダメだなオイ。糖分とらねーとなんかイライラす…」
「おいイイイイ!!」
『誰かが走ってくる』
「よくも人を身代わりにしてくれたなコノヤロー!!アンタのせいでもう何もかもメチャクチャだァ!!」
『あの人を身代わりにしたの?』
「違うからね。俺はそんなことしてないから。ただ、あの子に木刀を貸しただけだから。A、勘違いしないでね。それにしても律儀な子だな、木刀返しに来てくれたの。いいよ。あげちゃう。どうせ修学旅行で浮かれて買った奴だし」
『銀、あの人体力すごい』
ずっとバイクを追ってくるなんて一般人にしては体力あるなぁ。声を聞く限り、まだ若い男の子。というか、あの子が持ってるのって銀の木刀なんだ。
「そうだなぁ…マラソン選手かなんかじゃねぇ?」
「違うわァァ!!役人からやっとこさ逃げてきたんだよ!!違うって言ってんのに侍の話なんて誰も聞きゃしないんだ!!しまいにゃ店長まで僕が下手人だって」
『…さっきの人達殺した?』
「いや〜、殺してねぇよ。気絶させただけ。少年よ、切られたなそりゃ。レジも打てねぇ店員なんて炒飯作れねぇ母ちゃんくらいいらねーもんな。あっ、Aの炒飯はもちろんおいしいよ」
「アンタ母親をなんだと思ってんだ!!」
『私、銀の母親じゃない』
「当たり前でしょ。Aは母親じゃなくて銀さんの彼女だからね。バイトクビになったくらいでガタガタうる……」
「今時侍雇ってくれる所なんてないんだぞ!!明日からどーやって生きてけばいいんだチクショー!!」
あ、殴られるかも。後ろで木刀を振りかぶったのが気配で分かったので、銀に強くしがみつく。
「うっ!!」
銀が急ブレーキしたせいで、少年の股間がバイクにあたったようだ。あー、痛そうにしてる。銀って容赦ないな。
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コロ助 | 作成日時:2017年3月24日 0時