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「A」
握っていた手を強く握り返される。
「俺にはAが必要だ」
『私にも銀が必要』
「俺はAが好きだ」
『私も銀が好き』
「俺が言ってるのはな、恋愛感情の好きで…」
『私の好きも恋愛感情の好き』
「だからな……………は?」
どうしたんだろう。銀が固まってる。
「………A?」
うん、なに?
「Aは俺が好きなの?」
コクンと頷く。
「本当に?」
『こんな事で嘘吐かない』
ぐいっと銀に強く抱きしめられる。甘い匂いがした。
「お前そんな素振り全然見せなかったじゃねぇか」
『迷惑だと思ったから』
「何で?」
『目が見えないから』
「そんな事関係ない。俺はAの目が見えていようと、なかろうと好きだ」
『私でいいの?』
「Aじゃないと駄目だ」
銀は抱きしめていた腕を解いた。手探りで触れてみれば、真正面に銀の顔がある。
「A、キスしていい?つ〜か、するから」
『んっ』
返事をする間もなく、口づけられた。どんどん深くなっていく。嬉しい、嬉しいんだけど…苦しくなってきた。銀の胸を叩いてアピールする。
『ぷはっ!』
「わりぃ。止まらなくなっちった」
『死ぬかと思った』
「悪かったって。でも、そんな顔で睨んでも全然怖くねぇぞ〜」
顔が赤い自信がある。さっきまでの緊張はどこに行ったんだか。弾んだ声の銀に少しムッとしてしまった。
「Aちゃんはかわいいなぁ、オイ♪」
『もう寝る』
寝室に入って布団に潜り込んだ。寝巻に着替えないといけないけど、今はそんなことより隠れたい。
「あぁ〜かわいすぎだ……」
あの赤い顔とAんだ目は反則だろ。今頃布団に潜ってるんだろうな。まぁ俺はそのままにしておいてやるほど、優しくないからな。にやけそうになるのを必死で抑えて寝室に入る。
「A〜?」
入ってきた。まだ顔赤いからもう暫く待ってほしいんだけど。
「もう寝ちゃったのか?」
うん、寝た。寝たからもう電気消して、銀も寝よう。……布団をめくられてしまった。赤い顔を見られたのかと思うと、更に体温が上がった気がした。
「…A、先に謝っとく。ごめんな」
え、謝る…?何を?口を開く前に銀に口づけられた。その夜、銀は全く寝かせてくれなかった。求められる事は嬉しいんだけど…限度というものが。その日を境に、銀の過保護っぷりはどんどん加速していった。
おわり。
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作者名:コロ助 | 作成日時:2017年3月24日 0時