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『お金持ってないからいい』
「そんなことAは気にしなくていいの。大丈夫。銀さんに任せなさい!」
『銀』
「ん?」
振り返ってくれた銀の顔を両手で挟む。ビクッとなった銀に申し訳ない気持ちになったけれど、銀の事を知るために少しの間我慢をしてもらう。
「な、なに?」
『銀の顔の位置』
大体の体格は分かるんだけど、視線が合っているかどうかは分からない。銀の目を見ることはできないけど、視線は合わせていたいから。
『この角度?これだと目が合ってる?』
「あぁ、合ってるよ」
触れている銀の顔が少し動いた。笑ってる…?声も嬉しそう。
『目は何色?』
「Aと同じ赤だ」
『髪は何色?』
「銀色だ」
『ふわふわ』
「俺は天パーなんだよ…」
『嫌?』
「嫌に決まってるだろォがよぉ」
『私は好き』
ふわふわして気持ちいい。触れている銀の顔が少し熱くなった。熱…?
「いや、何でもねぇよ」
『銀、背が高い』
「まぁ、Aよりは高いわな〜」
銀の肩ぐらいが私の背丈かな。体も筋肉がちゃんと付いてるし、女の私とは違って分厚い体をしている。
「お、おい。何してんだ」
『筋肉ついてる』
「そ、そうか?」
『銀、これ着物?』
体に触っていると着物が気になってきた。中に何か着てて、その上から着物を着ているようだ。動きやすそうでいいね。
「あぁ。中にも着てるけどな」
『私も同じがいい』
「そっか。じゃあそろそろ買いに行くぞ」
『ん』
銀に手を引かれ、万事屋を後にする。お金持ってないけど大丈夫かな…
***
下に降りると誰かが声をかけてきた。
「てめぇ、銀時!さっさと家賃払えやぁ!…ん?何だい?その子は」
「こいつはAって名前だ。昨日から家にいるから。A、このババァが下のスナックを切り盛りしてる。挨拶しとけ」
銀に背中を押され、その人の前に立たされる。そして顔を少し動かされた。たぶん視線を合わせるようにしてるのかな。
「銀時、この子…」
「ん?あぁ。目が見えねぇんだ」
やっぱり挨拶はしないと駄目だよね。コクンと少しだけ顔を動かした。
「私はお登勢だよ。このロクデナシの所に来るなんて、あんたもついてないねぇ。何かあったら私の所に来るんだよ」
「ロクデナシとは何だよオイ」
「そう言われたくなかったら、滞納してる家賃を払うんだね」
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作者名:コロ助 | 作成日時:2017年3月24日 0時