23.水色を携えて ページ26
「ごめんTorielさん、待たせちゃったかな?」
Fトリ「……あ、いいえ、大丈夫よ」
少しうつむいているTorielさんに話しかけると、遅れて返事が来た。考え事でもしていたんだろうか。
Fトリ「……こっちよ、ついていらっしゃい」
そう言って階段の方へ歩いていくTorielさんの後ろを、遅れないように少し早足で着いて行く。
回廊を少し進んだところでTorielさんが立ち止まって話し始めた。
Fトリ「この先にRuinsの出口があるわ。外の世界に繋がる、一方通行の出口。……私は、それを取り壊そうと思うの。ここからまた、誰かがいなくなってしまわぬように。……ねえ、考え直してはくれないかしら?」
「……悪いけど、それは出来ない」
否定的な返答をすると、そう、と言って彼女は先へ歩を進め、またしばらく歩いたところで止まった。
Fトリ「ここに落ちた人間は、みんな同じ運命を辿って逝くの。私は何度もそれを見てきた。落ちてきて、ここを去って、そして死ぬ。もしここを出たりしたら、みんなが……Asgoreが、あなたを殺す。私はただ、あなたを守りたいだけなの。お願い、考え直して……」
「……そんなの承知の上」
……今度は、無言で進んだ。
Fトリ「私を止めないで。そして、考え直してちょうだい。……これが最後の警告よ、我が子」
それだけ言って、足早に先へ行ってしまった。
ここからでもRuinsの唯一の出口がしっかり見える。もちろん、扉の前に佇む彼女も。
「……それでも、決意は変わらない」
暖かくも塵の舞う、狂ってしまったこの場所から出るという決意は。
震えるSoulを落ち着かせ、彼女の元へと歩きつく。
足音で来たのが分かったのか、彼女は悲しげに言葉を紡いだ。
Fトリ「……そんなにここから出たいのね。あなたも他の人間と変わらない……」
ふわり、所々裾や袖の破けたローブを緩く翻し、こちらを見据える。
Fトリ「一つだけ方法があるわ」
その言葉を合図にしたように、ボワッ、とTorielさんの手の中に火球が現れた。背後にもいくつもの炎が召喚されていく。
Fトリ「私に証明してみせなさい。生き残れる強さがあると。それが出来ないのなら、戻るか私と一つになりなさい」
「……出来るさ。格は違うけど、Ruinsのモンスター達とだって渡り合えたんだから」
そう言って、リュックと鞄を後ろに投げ捨て、ポケットからナイフを取り出し構える。
それを見て、戦意があると見なしたらしい彼女は容赦なく火球を飛ばして来た。
狂いしも優しき母との戦いが始まった。
24.Cardiac Arrest→←22.本当の理由*めっちゃ短いです*
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fenon(プロフ) - 私Underfell一番すきなんですよ…なにこの俺得…(( (2020年9月4日 19時) (レス) id: 8dce9856e7 (このIDを非表示/違反報告)
†ノルン† - とばさん» お"あ"あ"喜"ん"で"頂"け"て"何"よ"り"で"す"(((ES「に●んちゅうハお帰レ」嫌"だ"に"ゃ"あ"ん"((塵)) (2018年7月27日 20時) (レス) id: 03448f2644 (このIDを非表示/違反報告)
とば - あ"あ"あ"((美味しい...本当にありがとうございますぅぅぅ(泣) (2018年7月26日 9時) (レス) id: 066ae08527 (このIDを非表示/違反報告)
†ノルン† - 闇鍋ソースさん» ピャアアアありがとうございますッッッ(嬉しさで顔を覆う絵文字)シリアス書けるのも充分すごい事だと思いますよ!私シリアス書くのが苦手ですぐギャグに走らせてしまうので……;;シリアスセンス欲しい……むしろセンスが来い……(( (2018年7月24日 21時) (レス) id: 03448f2644 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース - 題名のセンスありすぎじゃないですか?Σ(・□・;)羨ましすぎる。そして話がおいしすぎる…(いろんな意味で)ノルンさんすごいですね…!思わず尊敬してしまいます!私なんてシリアスしか書けなくて…(´;ω;`)しかもあの話別に続編があるという…ギャグセンス欲しい (2018年7月24日 2時) (レス) id: 851136abe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真綿ノルン | 作成日時:2018年2月9日 19時