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その車はシャッターの閉まった工場の前で停止する。
隣にいるリナはすでに臨戦体勢に入っていていた。こちらの車を止めると、俺よりも先に外へと飛び出す。
「どうも、こんにちは。その子、返してもらえます？うちのなんで」
すでに車の外にいた人間にはリナが高い蹴りを入れて、車から引き離した。俺は運転席へと回ってまだ車の中にいるそいつに声をかける。隙間から見えた後部座席にはAが乗せられているのが見えた。
「いた。A発見」
「チッ！」
「舌打ちしてえのはこっち、だ！」
のこのこと降りてきたそいつを大人しくさせるのは簡単だった。大した力もなければスキルもない。
取り出した携帯でカメラを起動させると、そいつに向けて問いかける。
「…何が目的だ」
「すげえ金持ちなんだろ、金だよ金！」
「あー、残念だったなあ。んな奴には渡せねえわ」
Aのことは知っているけれど、他に誰かと繋がっているわけではなさそう。あとでマッキーにこれを見せて調べてもらうとして、その男のことは殴って静かにさせておく。
後部座席のドアを開けてAの確認をする。身体に触れると、意識はないものと思っていたその身体が竦んだ。
「っ、や…！」
「A、A。大丈夫。俺だ」
「……っ！」
「大丈夫。助けに来た」
先に目を覆うようにつけられていた布を外してやると、明るさに目が慣れないのか顔を顰めるAがそこにいた。右の頬が赤く腫れていて、殴られたのかもしれない。指先で触れると、痛むのか表情が少し歪んだ。
ひとまず自分の車に移動させようと、その身体を抱き上げた。
「怖かったろ、もう大丈夫だ」
「っ、はぶさん……」
「それ、殴られたんだな。他になんかされたか？」
Aは首を横に振った。着衣の乱れはないし、その点に関しては今回は間に合ったんだろうか。車に戻ってくると、もう1人の男を処理してきたリナが駆け寄ってくる。
「…A！大丈夫？」
「リナ…！来てくれたの？」
「当たり前。みんな心配してるよ」
Aの身体を労わりつつ、車に乗せる。反対側に座ったリナが、Aの拘束を解いてやっているのを見ながら、俺は運転席へと座った。
安心したマッキーやウチさんの声を聞きながら、車を発進させる。バックミラー越しに見たAは、リナに寄り添われてようやく落ち着いている様子だった。その様子はかわいそうで、庇護欲が唆られた。
そんな気持ちを抱えて、車は事務所へと戻っていく。
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ハニ(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2022年8月30日 17時) (
レス) id: e49c92eedc (このIDを非表示/違反報告)
kotono3026(プロフ) - 面白くて続きがすごく読みたいです！ (2022年7月11日 7時) (レス) @page18 id: 7aa8e8b85c (このIDを非表示/違反報告)
なずな - 続きを楽しみにしています！！ (2022年5月3日 6時) (レス) @page18 id: 3993a699bc (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！ (2022年4月30日 19時) (レス) @page18 id: c5820b78bf (このIDを非表示/違反報告)
まい - こんばんは。ちょくちょくこの小説を読みに来ているのですが更新がされていないようで寂しいです…。続きはあると思ってもよろしいでしょうか？ (2022年2月15日 5時) (レス) @page18 id: 8f49d2e699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずたま | 作成日時：2021年11月25日 19時
