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招集の前に話したいことがあると山守さんから連絡があった。
屋上で1人佇んでいると、扉が開く軋んだ音がした。


「ごめんなさいね、寒いところ待たせて」
「平気です。それでお話っていうのは…?」
「ああ、Aには先に伝えた方がいいと思って」


私の隣に立った山守さんは柵の外側を眺める。凛とした佇まいは、初めて会った時から変わらない。


「大山が勘づいて内調が動き出してる。Aは嫌かもしれないけど、Aの家のこともあるでしょう。もう降りたっていいのよ」
「……私はもう用無しですか?」
「違う。そういう意味じゃない」
「わかってますよ。私がアバランチに呼ばれた意味ぐらい。羽生さんをここに呼ぶための、良くて餌、悪くて人質。そんなところじゃないですか?」
「……」


羽生さんと山守さん、そしてマッキーやリナの過去を知って、そういう人材を山守さんが集めているのだということに気づいた。家に対して思うところはあっても、大きな力に何か恨みがあるわけでもない私が呼ばれた理由なんて、きっと羽生さん絡みでしかないとも思っていた。
この無言は、きっと肯定。


「いいんです。むしろ呼んでもらえてよかった。羽生さんとこうして一緒に過ごす時間があるのは、山守さんが呼んでくれたおかげだから」
「A」
「今は降りるつもりはないです。でも私に残された自由な時間が終わってしまったら、その時は潔く消えます」


私はぺこりと頭を下げて、その場をあとにしようとした。その後ろ手がしっかりと掴まれる。山守さんの見透かすような目は苦手だ。私は曖昧に笑う。


「……ねえ、変なこと考えてない?」
「まさか」


再度笑顔を作って、私は山守さんの手からすり抜ける。
決められた道に進むしかないにしても、私が取り得る選択肢は無数にある。そのどれを取るかは、まだ考え中だ。


事務所に行くと、羽生さんとマッキーとリナはすでに揃っていた。みんなに挨拶しながら私は羽生さんの隣に座る。ソファーに放ってあった彼の手に私の手が触れると、驚いたようにそれが移動させられる。


「冷たっ」
「あ。ごめんね羽生さん」
「身体冷えてんな。外にでもいたわけ?」
「うん。屋上に行ってたの」


羽生さんが持っていたコーヒーを淹れたカップが手渡された。じんわりと指先からあたたかさが伝わってきて、それで暖を取る。
山守さんとの話、羽生さんが聞いてたら怒るだろうと思っていた。コーヒーを飲んでいたなら、聞いてはいなかったはずだ。

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みずたま(プロフ) - 竜胆さん» コメントありがとうございます!どう転ぶかはわからないですが、私もくっついたらいいなーとは思ってます。引き続きよろしくお願いします! (2021年11月25日 8時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆 - みずたまさん» 初コメ失礼します!とても、良い話で…一気読みしてしまいましたww 立場的に無理なんだろうと思いながらも、ヒロインと羽生さんがふっついて欲しいと願う程のお話で!毎回、楽しませて貰ってます!ww (2021年11月24日 22時) (レス) @page46 id: 0323b34345 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - さっくんさん» ありがとうございます!続き更新しましたー!よろしくお願いします! (2021年11月24日 21時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
さっくん - やー!♡続き気になるぅー!!!!!!!!!! (2021年11月23日 22時) (レス) id: 7aaa679c24 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - カンさん» はじめまして!ご指摘ありがとうございます。マルヒとマルガイ、完全に逆にして覚えてました…!修正しておきます。ありがとうございます! (2021年11月20日 23時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みずたま | 作成日時:2021年10月27日 1時

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