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第7話 勘違い・段違い(前編) ページ28

「しげさぁ、最近どうしたん?」

「ん?なに?」

「端的に言うと顔キショいで」

「はぁ?なんっやねん!」

夕方のcafé west。カフェタイムのラッシュも終わっていつもの落とし穴みたいな暇な時間、照史くんはタバコ吸いにいってて、流星は郵便局行ってくるって出て行った。俺がおらん間頼むで!って小瀧を置いて。

「ちゅーかお前なんやねん、ちゃっかりエプロンまでつけてからに」

「りゅーせがくれてんもん。色違いやねんで?」

「あーはいはいよかったな。そやかてピンクってことある?趣味悪いわ〜」

「そういう自分やって赤やんか!」

「赤とピンクはぜんっぜん違うわ!」

どうも小瀧とは波長が合いすぎて逆にだるいねんな笑 もう一人おったら結託して死ぬほどいじり倒せるんやけど、二人やとお互いラリー早すぎて言い合いみたいなんねん。

「ほんでなんなん。そのキショい顔は」

「うるっさい!キショくないわ!」

『しげ』

脳内録音した淳太くんの声はいつでも取り出せるよう脳の入り口んとこに置いてある。

『昨日はほんまにありがとう』

知り合いになれた次の日、淳太くんは一人で店に来た。席に着くなりオムライスをオーダーして、水を出しに行った俺を引き止めてそう言うた。

『ずっと話してみたかってん。やから、声かけてくれてほんまに嬉しかった』

……単純に、こんな幸せでええん?って、思わんことも、ない。いや、ほんまに幸せ。俺ちょっと期待してしまってるんやけど大丈夫?

あれから淳太くんは週に何回かここに来るようんなって、俺にもしげしげって話しかけてくれる。席空いててもカウンター座ってくれるし、見れば見るほど綺麗やねん。こないだなんかいつものオムライスにケチャップでなんか書いてやって言うねんで?かわいすぎん?かわいすぎるわ!

「…また顔緩んでんで」

「しゃーなしやほっとけ」

もう無理やねん。こんなんにやけんなって方が無理やろ。
ずっと憧れて、みとっただけの人が目の前におって、俺の顔見て名前呼んでくれて。もう、夢やないだけで死ねる。いや死んだらあかん!せっかく淳太くんと知り合えたんや!まだ死ねん!

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作者名:ぐりむ | 作成日時:2017年5月14日 9時

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