医師と豪酒の高校生【神宮寺寂雷】

01．頭痛とスルー ページ1

ちょー、頭が痛ぇ。
　
　学校から家に帰って、珍しくスクバを漁らなければ。隣の席の教科書を持って帰ってきちまったことに気付かなかったはず。

　今日は金曜日だから、取り敢えず、月曜日返すと連絡した。分かったといった返事来たから既読を付けて、この件は良いと。


　スマホを机の上に置き、ベットに横になる。
　部屋の隅にある時計は二四時を回っていた。


　あぁ、親父の日本酒を拝借したつもりだったのに、焼酎だったから頭がガンガンする。


「……缶ビールが飲みてぇな」


　親父は焼酎とか、ウィスキーの蒸留酒の類が好きだ。アタシは日本酒とか、ビールとか醸造酒の類が好きで珍しく、親父やらかしたなぁと半分ぐらい貰ったら、焼酎だった。


「口直しに、買いに行くか」


　酒を買いに行くには、制服は流石に不味い。丈の短い白Tに白のラインの入った黒ズボン。緩く金色の髪の毛をサイドに低く結び、不織布マスクを付け、ポケットにスマホと、財布を入れて家をでる。

　
　家から出て徒歩十分程のコンビニに入る。

　通い慣れてるので迷いなく、缶ビールのある冷蔵庫の前に歩いて行く。


「んー、ちょろよいだと、度数が足りねぇんだよな。やったあさりビールが良い」


　冷蔵庫を開けあさりビールを三本手に取り、レジに行く。
　
　お兄さんだったけれど、この時間帯だと年齢確認が無く済むんだよ。

　だからと言って、良い子は真似をすんじゃねぇよ？ アタシは責任を取れねぇから。


　袋に入れて貰ったばかりの缶ビールを一本取った。ぷしゅー。と気の抜けるような音を立てて開く。マスクを顎まで下げ、一口ぐびっと飲む。


「うま……」


　冷たいビールが焼酎で、照った体に染みて今日も一日頑張ったとため息をつく。


　ビールと袋を片手にコンビニから家に向かう。

　この帰り道が有意義な時間になると思えば、そうでもなかった。

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