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頭を撫でていた手を後頭部へと滑らせて、
少しだけ強く、引き寄せてみる。
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「わっ…。」
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思わぬ不意打ちにバランスを崩した彼女がこちらに倒れ込むようにして、すっぽりと俺の腕の中に収まる。
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…これくらいは、罰当たんねえだろう。
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隆「ごめん。最後だから。」
「…ちょ、」
隆「友達の、ハグ。」
半ば無理やり抱きしめたこの行為が、もはやハグの次元じゃないことぐらい百も承知だ。
ハグ、って言ったら彼女がシュンとおとなしくなって、ひそかにつのる罪悪感。
隆「幸せに、なって。」
「…。」
隆「…俺のために。」
そうしたら、彼女の細い腕が俺の背中に遠慮がちに回されて、思わず強ばる俺の身体。
…くそっ、かっこわりい。
それから数秒間、その状態のまま彼女の体温を堪能して、名残惜しく身体を離した。
するとタイミングよく、
健「Aー、臣が呼んどる。」
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健二郎くんの声。
ビクンと背筋の伸びたAちゃんが可愛くて、思わず笑みが零れた。
隆「ほら、行きな。
王子のお出ましだ。」
「…隆二くん。」
数歩後ずさって、軽く彼女に手を振る。
「…またね!
─────また!遊ぼうね!」
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そういった彼女が俺より先に踵を返してマンションへ走り去っていった。
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尼崎の雑草になりたい(プロフ) - イッキ読みしました!笑中2ころから書かれてたなんて、すごいです!臣くんと隆二くんの特徴とか健ちゃんの感じも汲み取っててとても素晴らしい小説でした! (2019年3月23日 1時) (レス) id: 9e0d1bf52d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - 昨日の夜から読み始め今読み終わりました…もう最高っ!何度泣いてしまったか…すごく苦しい場面もありましたがすごく素敵なお話ありがとうございました!! (2017年9月2日 17時) (レス) id: 73f9f33188 (このIDを非表示/違反報告)
ちくしょー青春。(プロフ) - miiさん» ありがとうございました!!一応書き手としている身としては、この上なく嬉しいお言葉…!!(T ^ T)またお会いできる機会がありましたら、よろしくお願いします! (2016年12月28日 21時) (レス) id: 37b819d85e (このIDを非表示/違反報告)
ちくしょー青春。(プロフ) - さくらさん» 返信がすごく遅くなってしまいました……ありがとうございました!!それどけの感動を与えられたのなら、もう満足です。有難い限りです。ご愛読本当にありがとうございました!! (2016年12月28日 21時) (レス) id: 37b819d85e (このIDを非表示/違反報告)
mii - 凄くやばかったです!もう読んでて満足とゆーか、楽しかったです! (2016年10月19日 19時) (レス) id: 38aaae60ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちくしょー青春。 | 作成日時:2015年12月29日 0時