karte 12 −「ｼ閏」と「羊羽」− ページ13
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｢松本先生、今からランチ？｣
｢ん？櫻井先生も？
じゃあ、一緒にどう？｣
｢ぜひご一緒しましょう？｣
｢ハハハ…｣
｢アハハハ…｣
あの日、偶然ジムで会って以来
歳が近いこともあって
俺たちは急速に打ち解けていった。
あの後も
たびたび食事に行ったり
飲みに行ったりしては
お互いの医療にかける情熱や理想
そして現実とのギャップ…
取り留めもなく話し込んだ。
考えてみれば
俺がこの病院に来てから
こんな風に腹を割って誰かと話せることって
なかったよな…
今さらながら思う。
それは
俺の『後継ぎ』という立場が
そうさせていたんだと。
でも、松本先生は違った。
｢櫻井先生の治療方針は間違ってる。
この患者に遺伝子変異がある場合
併用療法は無効で……｣
今までなら、みんな遠慮して
言わなかったようなことも
ズバズバと言ってくる。
でも俺は逆にそれが嬉しかった。
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｢…ん、今日のこの魚、超絶旨いな。｣
｢どれどれ…あ〜ホントだ！
マジ旨い。
俺もそっちにすればよかったな。｣
｢…この病院のいいところは
食事が旨いとこだよな。
どんなに最先端の医療を提供できても
体を作る基本の食が疎かだったら
何にもならない。｣
｢……お前…やっぱりストイックだな。｣
｢…うるせぇ。
ストイックっていうな。｣
｢…ブッ！アハハハ…｣
｢…ハハハ……ってオイ！
人の魚、勝手に喰うなよ！！｣
｢いや、だって超うまぃい〜♪｣
穏やかな日常の一コマ。
俺たちがお互いを
｢潤｣
｢翔｣
と呼ぶようになるまで
時間はかからなかった。
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