真夜中 2 (かわかみ) ページ12
はい決定、なんて目を細めて笑うと、無理矢理手を繋いでコートのポケットにわたしの右手を突っ込ませて歩き始めたようちゃん。右手が繋がれているから自然とわたしの足も動き出す。
「あと何分くらい？」
「んー、1時間くらい？」
「遠いよ！ようちゃんタクシー！」
「タクシーじゃ2人じゃないじゃん」
「そんな事よりわたし風邪引いてもいいの？移してやるからねようちゃんに！」
「分かった分かった」
長い腕を伸ばして、タクシーを呼び止めるようちゃん。はたから見たら大きいマスクを着けて、黒い服だから誘拐犯みたいに見えるのかな、なんて考えてみる。ようちゃんなら攫われてもいいかも。
そうこうしてる内にタクシーが前に停まって2人で乗り込む。車内ですら繋いだ手を離してくれないようちゃん、だけど顔は窓の外を向いていて、行動と態度がちぐはぐで可愛らしかった。
「ようちゃん」
「ん？」
「このまま攫ってくれてもいいんだよ？」
「したいのは山々なんですがねお嬢さん」
そう言って、右手でわたしの頭を撫でるようちゃん。
「意気地なし」
口をすぼませて言ってやると、はははと笑ってまた頭を撫でた。
「攫いに行く時は攫うよなんていちいち言わないから俺。ドキドキして待っててね？」
え、これってプロポーズって事でいいのかな。ん？それとも単純に今日みたいにいきなり連れ回されるって事？どちらにしてもドキドキだし、結婚なんて、全然想像してなかったけどいざ耳にするとやけに現実味が増してきて。
ああ、またわたしってばようちゃんの手の平で遊ばれてる。悔しい。
「またそうやってわたしの事からかって！」
「からかってないよ、物事にはね、計画と順序ってものがあるの」
何さ、分かったふりして。大人のふりして。
「ごめん」
わたしのムスッとした表情を察したのか、ようちゃんは眉を下げてわたしの頭、頬を撫でた。
「いつか本当の意味でぼんの事奪いに行ける日が来たら、その時はさ」
そう言ってようちゃんははにかんだ。
「じゃあ、待ってる」
繋がれたようちゃんの左手をぎゅっと握り直して、ようちゃんの目をじっと見つめる。ようちゃんの視線がわたしの口元辺りに向けられているのが分かる。ああ、そういうタイミングなのか。段々とようちゃんの顔がこちらに近付いてくる。タクシーの中か、恥ずかしい、けど、ようちゃんとチューしたい…！ようちゃんの唇まであと少し、というところで
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もふこ(プロフ) - ぼんさん» めっちゃきゅんきゅんしました…！主人公には幸せになって欲しいですね！ありがとうございました！！ (2017年4月12日 19時) (
レス) id: dd474415f5 (このIDを非表示/違反報告)
もふこ(プロフ) - ぼんさん» 磯部さんならなんでも！よろしくお願いします！ (2017年3月11日 10時) (レス) id: eb30167fe1 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - もふこさん» リクエストありがとうございます！ご希望などはありますか？？ (2017年3月9日 17時) (レス) id: 049e7dd19b (このIDを非表示/違反報告)
もふこ(プロフ) - 続けてで申し訳ないんですが私も磯部さんお願いします!! (2017年3月9日 15時) (レス) id: eb30167fe1 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - ぼんさん» ありがとう(*´>ω<`)楽しみにしとります！ (2017年2月22日 8時) (レス) id: 88fd766a80 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぼん | 作成日時：2017年2月1日 3時
