真夜中 (かわかみ) ページ11
布団に包まってケータイをいじる深夜1時過ぎ。そろそろ眠気に襲われ始めたという時、ある人からのメッセージが来た。
「ようちゃん?」
文面には、窓開けて下見て!の一文。寝る為の準備が万端であったわたしは、不思議に思いつつモソモソと布団から起き上がりベランダに出ると、すぐ下にようちゃんがマスクをして立っていた。幸いわたしは一軒家に住んでいるため、ようちゃんとの距離はそれ程遠くない。
「ようちゃん!何で!」
「会いたくなったから寒いけどタクシーで来ちゃった」
来ちゃった、なんて可愛く言われてもこちらは戸惑うばかり。いつからそこにいたのか、来るなら前もって連絡して欲しいとか、色々言いたい事はあるけれど、いちいち言っていたらきっとようちゃんはむくれてしまうから黙っておこう。
「わたしメッセージ気付かなかったらどうするつもりだったの?」
「帰るつもりだった、けど気付いてくれるって思ってた」
春はもうすぐそこだというけれど、3月のくせに夜はやっぱり寒くて、部屋着のままベランダに出てしまったわたしには厳しい風が吹いていた。
「そんな事よりさ、デートしようよ」
「は?」
「嫌なの?」
「嫌とかそういう問題じゃなくて、時間遅いし明日バイトだし」
「俺は今会えなきゃ嫌、早く降りてきて」
ぼん、なんていつもより少し低い声でわたしの名前を呼ぶから。寂しそうな眼でわたしの事をじっと見てくるから。堪忍したわたしは静かに音を立てないように、身支度をして家を出た。
「やっときた」
玄関の門に寄りかかってわたしの事を待っていたようちゃん。近くで見ると、少し痩せたのだろうか、頰がこけている気がした。
「あ、俺があげた部屋着じゃん」
ようちゃんはわたしの首元を指差して言った。わたしの着ているフードの付いた部屋着は、記念日でも誕生日でもないなんでもない日にようちゃんがわたしにプレゼントしてくれたものだ。良いとこのものらしくて、何回選択してもくたびれる事が無い。
「どこ行くの?」
「決めてない」
「ちょ、決めてないって」
「ただ凄く無性にぼんと2人きりになりたくて、デートしようなんて言っちゃった」
「このまま俺の家でも行く?」
「はあ?急過ぎ。それに朝どんな格好して帰ればいいのよ」
「いいよ、俺送ってくし」
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もふこ(プロフ) - ぼんさん» めっちゃきゅんきゅんしました…!主人公には幸せになって欲しいですね!ありがとうございました!! (2017年4月12日 19時) (レス) id: dd474415f5 (このIDを非表示/違反報告)
もふこ(プロフ) - ぼんさん» 磯部さんならなんでも!よろしくお願いします! (2017年3月11日 10時) (レス) id: eb30167fe1 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - もふこさん» リクエストありがとうございます!ご希望などはありますか?? (2017年3月9日 17時) (レス) id: 049e7dd19b (このIDを非表示/違反報告)
もふこ(プロフ) - 続けてで申し訳ないんですが私も磯部さんお願いします!! (2017年3月9日 15時) (レス) id: eb30167fe1 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - ぼんさん» ありがとう(*´>ω<`)楽しみにしとります! (2017年2月22日 8時) (レス) id: 88fd766a80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼん | 作成日時:2017年2月1日 3時