【妖怪ウォッチ】シャーマン少女と本家大将大ガマさん。part４

酒呑童子 ページ15

「……酒呑、童子」

Aの瞳に映るのは、巨大な深緑色の鬼。
それは、地鳴りにも似た咆哮を上げる。
Aはその轟音に耳を塞ぐと、それを睨みあげた。取り込まれたフミカは丁度ソレの胸の辺りで未だに目を覚ますことはない。

酒呑童子は一歩を踏み出す。ずずんと地面が揺れAはぐらついた体を必死でたたせる。
攻撃を予想し、じゃりと後退したが
酒呑童子は思わぬ行動に出たのだ。
その屈強な腕を伸ばし、辺りに居たアドゥの悪霊を手当り次第掴んでは喰い出したのだ。

「なっ、何をするの！？」

これにはアドゥも驚きを隠せない。仲間である少年を睨みつけ声を上げる。

「何って、見てわからない？この酒呑童子はハリボテだ。ハリボテを動かす為には、動力が必要だろ？」

少年はさも当たり前のように淡々とそう語る。アドゥは信じられないと言わんばかりに目を見開き、唇を噛んだ。

「ね、姉さん」

「……ッ」

それまで黙っていたウードゥもたまらず声を上げたが、アドゥは唇を噛み締めることしか今はできない。

酒呑童子は一通り悪霊を喰らった後で、Aに視線を向けた。
光る眼光が、自分よりも小さな存在である少女を捉える。

「……ッ！」

Aは咄嗟に身構えた。攻撃を食らったらタダじゃ済まない事は容易にわかることだ。
グワリ。と振りかぶった酒呑童子がその腕をAに向かい叩きつける。
既のところでAの足が動くことを思い出した。もつれるそれを必死で動かしそれを避けたが、その質量に比例した凄まじい衝撃波が背から襲う。

「っづぅ！！」

くぐもった呻き声が口から漏れる。Aの体はいとも簡単に吹き飛ばされ、ざざっと地を滑るように転がった。

「くれぐれも殺すなよ？酒呑童子。アレは僕の大事な復活の要だ」

少年の呟きは、Aには聞こえない。
Aはヨロヨロとよろめきつつ立ち上がり、その鬼を睨みつける。
その時だった。バリンとまるでガラスが割るような音がした。
それと同時に聞こえたのはAーーー！と自分を呼ぶよく知った声。

その声にハッとして、振り向いたその先。
そこには怒りにも似た形相でこちらに向かってくる大ガマ。
そしてその後ろをついてくるケータとウィスパー。

「ヘンテコ男……天野くん！！」

「A！！大丈夫かっ！？……ッ何だよこいつ！！」

大ガマがAの元へ到達するなり、目の前の強大な鬼に目を見開いた。

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