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【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ8

「貴様らが、罪人である父を。無実だ、冤罪だ、事実無根だと騒ぎ立てるのは勝手だ。しかし、」

オキナはそこで言葉を閉ざし、とある方向へと視線を向ける。
ノルカ、ソルカも釣られるようにそちらに視線を向けた。

そして、二人は目を見開く。
胃がせり上がるような感覚とともに、呼吸することが苦しくなった。

そこにいたのは、ゲッセンの妻。
ノルカとソルカもよく知る存在だった。
ヤシと共に家に招かれ、美味しい料理を振舞ってくれた彼女はとても美しい女性だった。
そして、彼女とゲッセンの間に産まれた珠のような女の子をノルカとソルカはまるで妹のように思い。あやし、接していた。

今。二人の目に映るのは…
やせ細り、頬はこけ。
手入れなどしていないだろうボサボサの頭髪を無造作に下ろし。
泣き晴らし、窪んだ目元……そこには憎悪を孕んだ瞳がギラギラと光っている。
美しかった面影などまるでない、修羅のような形相のゲッセンの妻だった。

その腕に抱かれる女の子は、指吸いをしながら。何も知らないその純心無垢な瞳をノルカとソルカに向けている。

「民は、愛する者を奪われた者達は……。果たして貴様らの主張を聞き入れ、納得するだろうか?」

「……」

「決して消えることのない悲しみを背負い、深い憎悪を抱いて生きてゆくのだ。貴様らが喚くその主張が如何に愚かで、自己中心的で……幼稚か。これで分かったであろう」

「……ち、違う。父様は」

「まだ言うか。……まぁいい。先程も言ったが、お前達に罪はない。だが、民や……ゲッセンの身内達はその腹の中で貴様らをこう罵るであろう。"罪人の血縁者"…となぁ」

ノルカとソルカはその言葉を聞き終える前に地を蹴った。走って、走って。
その場から逃れるように。
それでも、父はやっていない。しかし、周りは皆自分達に敵意の眼差しを向けるのだ。
それが悔しくて、泣くまいと堪えた瞳に涙が滲む。


どうやって月都から帰ったのかは、よく覚えていない。
気づけば見慣れた村の風景が、サラサラと揺れていた。

ただ、覚えているのは。
ゲッセンの妻とすれ違ったその瞬間聞こえた

ーーどうして?彼を、返して。

という、掠れた声だった。

それはノルカとソルカの耳に、脳に。しっかりと焼き付いて。
ジクジクと痛む深い傷のように、身体の根に重く響いていたのだった。

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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

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