【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ20
「なぁ、ソルカ」
「何？ノルカ」
その晩。焚き火に当たっていたノルカが隣のソルカに口を開く。
「ソルカは、地球に行ったら何したい？」
それは唐突な質問だった。
パチパチと音を立て小さな火の粉が舞う。
それを瞳に映したソルカが、そうだなぁ。と目を伏せた。
「……人間に、会ってみたいな」
「おっ！それ俺も思ってたっしょ！……ハハ！初めて意見が合ったな！」
「フフッ。ノルカと僕はいつも正反対だったからね……。よく父様に、対極な双子！って笑われたよね」
「……」
「……ごめん。」
あれから二人は無意識に父親の話を避けていた。それもそのはず。あれだけ惨たらしい父の最期を目のあたりにしてしまったのだから。
黙ってしまったノルカに小さく謝ったソルカは、手元にあったカラカラに干からびた小枝を火の中に投げ入れる。カランと乾いた音を立て、小枝はすぐに火に飲まれた。
「……俺の方こそ、わりぃ。親父の話をすんのは悪いことじゃねぇっしょ。」
「……うん」
「…あ。ラビィは地球に行ったら何したいんだ！？」
そんな空気を破るように、ノルカはソルカ越しに彼の隣に座るラビィへ話題を降る。
ラビィはしばらく考え、持っていた枝で地面に字を綴り出した。
たくさん、おしゃべりしたい。
最近覚えたばかりの、辛うじて読める文字。
ラビィはこの環境のせいでうまく言葉を発せなかった。
書き終わった後で、ノルカとソルカに視線を向けたラビィはニコッと小さく笑ったのだ。
「なるほど。なら早く喋れるように、練習しなくちゃね？」
ソルカの言葉にラビィはこくこくと小さく頷く。
その時だった。何処からともなくザッ、ザッ、という雑踏。
最初こそ空耳かと疑う程のものであったが、それは段々近づいてハッキリと聞き取れるようになる。
明らかにおかしいその音に、ノルカは立ち上がる。
ラビィは怯えていて、ソルカにぎゅうっとしがみついた。
ソルカはそんな小さなラビィを庇うように抱き抱えると、音の方角を見つめる。
暗闇の中。揺れる灯り。その数は数え切れない程のものでそれが徐々に近づいてくるのだ。
ノルカはそれを睨みつけるように目を凝らす。そして、ハッと目を見開いたのだ。
徐々に現れたその大群と共にはためく旗には…国軍の紋。
ノルカの脳にフラッシュバックする、下品な笑みを浮かべるあの時のオキナ。
ヒュッと短く呼吸をした後で、ノルカはソルカとラビィに振り向いた。
【ノルソル過去編】善良な悪人達の話→←【ノルソル過去編】善良な悪人達の話
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
story101(プロフ) - はい！ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (
レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ！お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお！そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ！！←怖い有難うございます！これからもよろしくお願いします(｡_｡*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい！もちろんです！応援してます！！ (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ！おおっ！流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス･:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー！これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
