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相澤「大丈夫だぞ」
おっ、と顔を上げた私に、先生はにまっと笑った。
私「えっ」
相澤「ここまで来ているのは狗駒と常闇だけだ。見られる心配はないだろう」
いや先生も何気に行きたいのかい！と心の中でツッコミを入れてしまう。
そのままスタスタと歩き出した相澤先生。
私「えっちょっ、ちょっと待って下さい！」
先生が振り返る。
私「先生！先生はどうなんですかそれ世間体的に教師と生徒が遊園地だなんて！」
声を抑えながらそう問うと、「3位のヒーローの厚意は無下にできないだろ」とかわされてしまった。
相澤「ほら、チケット」
はい、とチケットを手渡されたとき、思いがけず先生の手が私の手を優しく掴んだ。
私「！？！？！？！？」
びっくりして見上げると、先生が意地の悪そうな笑みを浮かべていた。
相澤「確かに、狗駒の言う通り生徒と教師だって知られたら、一大事だな」
そう言って先生は自分の隣の方へ私を引っ張った。
距離が近くて先生の匂いが、いつも以上に感じられた。
「今だけは隣で歩いてくれ、前後だと怪しまれるかもしれないからな」
「......！」
「そう言いたかったんじゃなくて！」と言おうとしたけど、その前に顔が真っ赤になってしまった。
バクバクと心臓がうるさい。
景色が一瞬で止まってしまったみたいだった。
慣れていないからこんなに心臓がうるさいんだ、と自分に言い聞かせても、当然身体は止まってくれない。
慣れていないから、私はこういうのに慣れていないから、危ない。
頰を赤くして、心臓が激しく脈打っているなんて、
こんなの、
こんなの。
(まるで私が先生のこと好きみたいじゃない......！)
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作者名：坊 | 作成日時：2022年6月1日 18時
