生きた証を、この世界に［桃］II

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手越が普通病室に戻ったらしい。




だから今日は、3人で会いに行こうって約束した。




会って、ちゃんと話さなきゃいけない。




これから、俺らがどうあるべきか。手越が、どうすれば楽に過ごせるか。




「てごちゃん......久しぶり。体調どう？」




静まり返った病室に、自分の声が響く。わかりやすいぐらい震えてて、ちょっと恥ずかしくなった。




「てごちゃん...... ごめんね。ひとりにして、ごめん......」

「......ぐすっ、......なん、で......？」




その"なんで？"は、何に対してのなんでなのか、思い当たる節が多すぎた。




「なんで......来た、の......？俺のこと、嫌いになったんじゃ、ないの......？」

「そんなわけないじゃん、俺ら、てごちゃんのこと大好きだよ？」




目を見て、伝わるように、優しく話しかける。俺だって一応リーダーなんだからね。




シゲみたいな語彙力はないし、まっすーみたいな信頼は持ち合わせてないけど、大切なメンバーが泣いてるならいくらでも救ってあげたい。




「てごちゃんが今一番不安なことは、やっぱり俺らに置いて行かれちゃうこと？」




それは前に一度、手越の口から聞いた不安。そしたらやっぱり、手越は小さく頷いた。




「おれが......入院してる、間に、......みんなで、話し合いしてるのかな、とか、......おれが、いなくても、変わらないんじゃないか、とか......そう、思ったら、みんなの顔、見るの、辛くなって......っ、」




そんなこと思わせちゃうぐらい、俺らは手越に言葉で伝えられてなかったことを反省した。お互い遠慮して、気づいたらこんなに心の距離が開いてたんだね。




「何回でもいうけど、俺らは絶対に置いて行ったりしないから。てごちゃんのためなら毎日会いに来るし、体調がいい日はここで打ち合わせしよう？」




もう絶対に、寂しい想いはさせないから。




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