○ダンボール戦機ＷＡＲＳ●〜緋色の少女と・・・〜１０

◆幸福と不幸と ページ34

ひらりと片手を振り、ユキジは小走りでこの場から去る。
向かったのはコントロールポットルームだ。
ユキジ＞タケル。
タケル＞ユキジ！早かったね？
ユキジ＞作業分担、サクヤに任せてきたから。で、どんなプロテクト？
問いながらも、ユキジはノートパソコンと１台のコントロールポットとをケーブルで繋ぐ。
ユキジ＞あー・・・これか。
タケル＞どう？
ユキジ＞やっぱり、ヒカルの時とは違うものが使われてる。でもソースコードに類似点があるし・・・・・同じプログラマーが書いたもので間違いない。
タケル＞外せそう？
ユキジ＞外せる外せないの問題じゃなく、外すんだ。ちょい時間掛かる。
タケル＞わかった。
しばらくの間、作業を続けるユキジを見つめて立っているタケル。
ユキジ＞タケル。もう１台、ノパソ欲しいんだけど。
タケル＞ああ、うん。こっちにあるよ。
ユキジ＞サンキュ。
タケル＞・・・・・。
ユキジ＞・・・・・なんだ？言いたいことあるなら言えよ。じっと見られてると気が散る。
タケル＞あ、ごめん。言いたいことって言うか・・・。
ユキジ＞？
タケル＞・・・・・まだ、迷ってる？
ユキジ＞何に？
タケル＞誰かを好きになること。
ユキジ＞・・・・・。
タケル＞前はジンさんが好きだって言ってたけど、もう言わなくなったよね？
ユキジ＞あれは子供だったから。
タケル＞今も十分子供だよ。そうじゃなくて、あの３人の事だよ！好きなんじゃないの？誰かは、あえて聞かないけど。
ユキジ＞・・・・・。
タケル＞・・・・・自由になりなよ、ユキジ。お父さんやお母さん、拓也さんが望むと思うの？君が幸福にならないことを。
ユキジ＞そうは言ってないだろ。
タケル＞なら！・・・・・僕は嫌だからね。ユキジが不幸になる結末なんて。いい加減にしなよ。
少し荒々しくノートパソコンを床に置き、タケルは早足でこの場を立ち去った。それを、手を止めたユキジが横目で見つめ、また画面を見る。
ユキジ＞・・・・・ハァ・・・いい加減にしなよ、か。
一人残され、呟く。キーを叩いていた指は握り締められて拳となり、顔を俯かせる。
ユキジ＞・・・・・ははっ。腹括れってか？難しいよ、私には。タケルの言いたいことはわかってる。わかってるけど・・・・・わからないんだよ、私には。
この気持ちを、伝えても良いのかどうか。
伝えることを。その返事を。拒まれることを。自分が幸福な想いをすることを。
ユキジ＞・・・・・怖がって、何が悪いのよ・・・タケルのバカ。

◇丁度いい関係→←◇それぞれの作業

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