○ダンボール戦機ＷＡＲＳ●〜緋色の少女と・・・〜１０

◆眠り続ける少女 ページ4

コンコンッ・・・・・ガララッ

サクヤ＞ユキちゃん、入るよ？って、もう入ってるけどね、あはは・・・。
苦笑しながら、ある病室に入るサクヤ。病室の扉の横にあるプレートには「檜山ユキジ」と記入されている。
この学園に来た際、彼女は”宇崎”と名乗っていたが、本人のこれまでの意志を尊重し、”檜山ユキジ”と言う名で入院させているのだ。
サクヤ＞もうすぐ、ハルキ達も来ると思うよ？僕だけ先に来たんだ。これの処理、しちゃおうと思ってさ。
言いながらサクヤが手に持っている物を、少しだけ上に上げた。それは花束だった。
サクヤ＞これ、みんなで少しずつ出し合って買ったんだ。選んだのは女子のみんなだよ？ユノとキャサリンとハナコ、それにリンコが一番張り切って選んでたんだ。やっぱり、女子ってこう言うのに詳しいのかな？お見舞いにはどんな花が向いてるのかって、すっごい真剣に選んでたんだ。
一人で長々と語るが、相手からの返事はない。いや・・・返事など聞けるはずもないのだが、サクヤは承知の上でこうして語り続けているのだ。
サクヤ＞・・・・・一人でこうやってしゃべり続けるのって・・・なんだか辛いね？
答えなどくれるはずもないが、それでもサクヤは、目の前で眠り続けている少女に語りかける。
サクヤ＞ヒカルもハルキもムラクもみんな・・・・・いつも、こんな風に思ってるのかな？
今名前が挙がった３人とサクヤとアラタ、そしてタケルの計５人は、毎日彼女を見舞いにこうして診療所に寄って帰る。
サクヤ＞ねぇ・・・・・みんな待ってるんだよ？この一週間ずっと・・・。ハナコは、親に帰って来いって言われてるのに・・・・・それでも、なんとか親を説得して・・・目が覚めるまで待っていたいって・・・ちゃんとお別れを言いたいからって・・・・・待ってるんだよ？
先程までの明るい声とは違い、今にも泣きそうな声で話し続けるサクヤは、少しだけ顔を俯かせる。
サクヤ＞みんなが待ってる、だから・・・・・早く帰ってきなよ・・・ユキちゃん。
彼の言葉も虚しく、静かな病室の中に消えた。
聞こえて来るのは、静かな寝息のみ・・・・・彼女、ユキジからの返事は一切返ってはこなかった。

ユキジが昏睡状態になってから、早一週間・・・。

彼女は未だに眠り続けている・・・。

彼女のもとを訪れては、今のサクヤのように語り続ける仲間達・・・。

しかし・・・・・やはり、ユキジからの返事は・・・一切なかった・・・。

◇何も出来ない悔しさ→←◇流れて行く時間

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