透明ノ空 -2- (ページ28)

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71話『気配』*コトハページ28

「俺まだ１６だよ・・・よい子は部屋で寝てる時間なんだよ・・・」

かばんの中に入れていた懐中時計の針が指す数字を睨み、俺はこのとてつもなく面倒くさくて酒臭い
少し危険じみた情報交流の場にいる。
何故だ・・・解せぬ・・・

「アリアさーん、現実逃避しないでさっさと情報集めて帰りましょうよー。ああ、眠い・・・」

欠伸をしながら事を早く進めようとトワ君が急かしてくる。
そういえば彼は１４歳だったっけ？
よくついてこようと思ったな←

「・・・じゃあさっさとやりますかー。というか君が能力使ったら早く終わるのに。使ってみてよ。てか使えよ←」

「え！？そんないきなり・・・まあ、やりますけど・・・」

任務だし・・・とかぶつぶつといって情報収集を始めだした。

「・・・！」

なんとなく、違和感・・・というか、すごく“不吉”な感覚を覚えた。
ぞくり、と背筋に冷たい棒を入れられたような感覚。
気味が悪い。本当に不愉快でしかない。最悪だ。

「ここじゃない、か」

「何ガですか？」

偶々近くにいたセーレが声をかけてくる。
どうやら声に出てしまっていたらしい。

「え、んー、何でもないよ。気にしないで」

そう答えていつものように適当に笑って表情を作る。
「そうですか」と言ってまるで何もなかったかのようにサッと任務に戻っていった。

「お仕事、しないの？兄さん」

ふいに、後ろから聴きなれた声が聞こえた。

「・・・いい子は眠らないといけないんだよ？ミキ」

「別にいい。兄さんが危ないことしてるから・・・」

振り返るとそこにいたのは儀妹のミキだった。
どうやらあの馬鹿は一緒じゃないみたいなのでとりあえずホッとした。

「兄さん、心配。変な気配もする。危ないこと避けたほうがいい」

表情には出ないが心配しているようだ。
声も微かに震えていた。

「大丈夫だよ。今日のところはとりあえず接触はしない。まあ、相手次第だけど」

今度はちゃんと笑って小さな可愛い妹の頭を撫でる。

「・・・約束、ね」

「分かってる」

いつまでも動かないその気配を気にしながら約束なんて滑稽なことをしてみた。

これは、たぶん、守れない約束なんだろうけれど。