96.信じていて 迷宮編 ページ21
ーAー
すばるくんが語ってくれたその記憶は、
全部全部、身に覚えのあることだった。
何も知らないわけじゃなかった。
彼と私は、一緒だった。
でも、知らなかった。
私を守ってくれていたこと。
ずっと想っていてくれたこと。
なんて考えてたら、また泣きそうになる。
紫「大変やったな 」
紫さんがそう言うと、周りの3人も頷く。
優しい目をしている。
もう、吸血鬼になんて見えなかった。
赤「ごめんな、隠してて 」
なんて言って私を見つめるから、横に首を振った。
『ううん、ありがとう。』
あの時、すばるくんが記憶を消してくれたおかげで、“私が家出した”という事実が白紙になった。
もちろん、家出したからって怒ることはなかった。
もしそのことでお父さんの逆鱗に触れていたと思うと、なんともいえない恐怖に襲われる。
黄「じゃあAちゃんがここに来たのって、またそいつの暴力が原因？」
眉毛を下げて、不思議そうに聞いた。
嘘をついても仕方ないから、頷く。
緑「…また辛い思いしたんやな 」
黒「ホンマ、困った親御さんやなぁ 」
紫「その後、オカンはどうしたん？」
『まだ病気は治っていませんが、元気です』
紫「複雑やな、」
最後に見たお母さんは、確か笑っていた。
“私なんて放っておいて、逃げて”
そんなことを、お父さんのいないところで何度も言われた。
最後も、そうだった。
いつも。
赤「あ、黒猫 」
すばるくんの視線の先には、いつの間にか黒猫がいた。
いつか私を導いた、あの黒猫だった。
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朱狐(プロフ) - ハニーレモンさん» 本当ですか！ありがとうございます！励みにして頑張ります！ (2019年9月28日 8時) (
レス) id: 576e85210a (このIDを非表示/違反報告)
ハニーレモン - はじめまして最初から読みました。安くんの存在も気になります。すばるくんには主人公ちゃんを最後まで守ってあげてほしいです。楽しみに待っています。(*^-^*) (2019年9月28日 0時) (レス) id: 74ed2de143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱狐 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=tikuwa123456789&scr=novel/bokuranokako...
作成日時：2018年2月8日 19時
