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「ねえ、これどっちだと思う」
自室のドアをなかなかの音で開けて彼女が出てくる。
一軒家育ちのためマンションの生活にはまだ慣れない。
「右。今日の気分は白」
ソファーでスマホをいじりながら、彼女が左右に持つ服を見て、右手の白いカジュアルなトレーナーワンピを選ぶ。
「そ？じゃあそうしよかな」
そう言って彼女は自分の右手側を見つめる。
「今日何？どこ行くの？」
アウトドアな方ではない彼女が、土曜の午前に起きてくるのは珍しい。
まあ自分も、用事がなければ起きないが。
「あれ、ほら、りっちゃんとランチ」
「あー言ってたな。どこ？」
「青山。お洒落タウンですよ。疲れるー」
「ひどい言い草やな。楽しそうやん」
「いきなれないんだもん。フレンチだっていうしさーリツコの美食は止まらない」
ぷくー、と拗ねたように頬を膨らます姿は、いつまでも子供のようにも見える、
「あ、待って。じゃあ左。チェックのパンツの方」
「え、こっち？」
そういって左手に持ったモノトーンのワイドパンツを持ち上げる。
「うん、そっち。それにネイビーのニットやな。ゴールドのチェーンのネックレスしてったらええわ」
「ネイビーのニットって、どれだっけ」
「リブのやつ。俺がこないだこうてきたやん。コートはボアのロングな。今日寒いで」
昔から自分の見た目に無頓着な彼女は、いろいろそつなくこなす割に、服のセンスだけはない。というより、関心がない。
「白のワンピは青山はだめ？」
「フレンチやしなー」
「違いがわからん」
「わかるやろ、それは」
「これ好きなんだけどなー。だめ？」
「汚すやろ、白。なんか洒落たソースとかで。やめとき」
「は！ほんとだ。じゃあそれにしよ」
着替え着替えーと彼女が自室に消える。
さすがに目の前で着替えはしないが、ドアは開けっぱなしだ。
"弟"しかいないのだから、そんなもんだろうが。
「....センス良くて仕事もできる永瀬さん、って看板に偽りありすぎやろ」
小さく呟くと、向こうの部屋で動きの止まる気配がした。
「....だれにきいたのよ」
彼女が少し声を低くしておずとずと聞く。
「りつこ。"後輩憧れの素敵OLの永瀬さん"」
「りつこさん、ね。勝手に周りが言ってんの。なんか廉が買ってきた服着てるといつも言われる！私はもっと地味でもいいのにー」
「見た目も仕事やろ。黙って俺の選んだのきとき」
「目立つんだもん...」
「目立ってナンボやろ、営業なんやから」
「まあね...」
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まな - 一気読みしてしまいました！！無理のない頻度での投稿、楽しみにしてますね！ (2020年4月14日 0時) (
レス) id: 9c457a3c27 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - Nano.さん» ありがとうございます...！なるべくサクサクいけるよう頑張ります...！ (2020年3月17日 18時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
Nano.(プロフ) - とても楽しくみています。次の更新をお待ちしています！ (2020年3月16日 12時) (レス) id: 03ff967dd1 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます！このシーンから初めに思いついて描き始めたので嬉しいです！ (2020年2月19日 14時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - ど、ドキドキしました。キスしちゃうかと思った。廉君にとって、血のつながりはないけど、誰よりも何よりも、きっと自分よりも大切な存在が、お姉さんなんですね。すごく切なくて、大切さがひしひしと伝わってきました。 (2020年2月17日 15時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2020年2月13日 12時
