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浴室に干された2人分の洗濯を回収して、風呂場を開ける。
以前、高校まで住んでいた一軒家で、庭に干した洗濯物から廉の下着とAの下着がごそっと無くなるのが2度続いて以来、永瀬家の洗濯物は全て部屋干しだ。
私のはまあ女物だからわかるんだけど....あんたのは.....顔がいいと苦労すんね....と彼女に心底同情されたのも懐かしい思い出だ。
そんな顔のいい男に、平気で下着まで畳ませるのもどうかと思うが。
洗濯物をわけない永瀬家では、できる方がやる、がモットーのため、廉は自然と女物の洗濯も覚えた。
特に最近は、服に無頓着なAがなんでもかんでも乾燥機に放り込むため、自分の服の危機感を感じた廉がほとんど担当している。
なんなら、くたびれた下着を見つけては、そろそろ買い換えろ、と促すのも廉だ。
バイト先の店長にその話をしたら
俺妹の下着とか洗ったらまじでぶん殴られるわ。お前んとこすげーな...
と本気で目を丸くされたので、やっぱうちは普通じゃないんだ、と実感した。
けれど、ずっと、これが普通だと思ってやってきたのだ。
さっと風呂を洗いシャワーを浴びる。
廉自体はシャワー派だが、毎日湯船に入る人がいるので、自分が入るときに必ず洗うようにしてる。
出るときに湯張りボタンを押すのを忘れずに。
俺もすっかり気の利く男に育ったな、なんて、独り言で自惚れてみる。
「でたでー。湯溜まったら入り」
「んー」
リビングに入って、窓際に座る彼女に声をかける。
彼女は窓際の棚に置かれたそれを、いつものように掃除して、新しい水を置く。
「よし、終了」
くるっと振り返った顔は、すでにメイクが落とされて、どこか、10代のころの彼女を思い出させた。
「あんたも寝る前に手、合わせなね。お湯、ありがと」
そういってパタパタと自室に入って風呂支度をしようとする彼女を見送った。
窓際の、日の当たる小さな棚。
置かれたのは、少し古くなった写真、そして黒く光る、小さな位牌二つ。
「もうすぐ、9年やな」
写真の中で笑う、自分によく似た女性と、彼女の面影を感じる男性を見つめる。
お互いに出来ることをする。
そうやって、なんとか2人で暮らしてきた。
両親が事故死した、あの日から。
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まな - 一気読みしてしまいました！！無理のない頻度での投稿、楽しみにしてますね！ (2020年4月14日 0時) (
レス) id: 9c457a3c27 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - Nano.さん» ありがとうございます...！なるべくサクサクいけるよう頑張ります...！ (2020年3月17日 18時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
Nano.(プロフ) - とても楽しくみています。次の更新をお待ちしています！ (2020年3月16日 12時) (レス) id: 03ff967dd1 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます！このシーンから初めに思いついて描き始めたので嬉しいです！ (2020年2月19日 14時) (レス) id: 186150732f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - ど、ドキドキしました。キスしちゃうかと思った。廉君にとって、血のつながりはないけど、誰よりも何よりも、きっと自分よりも大切な存在が、お姉さんなんですね。すごく切なくて、大切さがひしひしと伝わってきました。 (2020年2月17日 15時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2020年2月13日 12時
