僕の好き、君にあげる。

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起きるのが憂鬱な朝、社会人になって幾度となく乗り越えてきたはずなのに、気分の上がらない朝。




それもそのはず、だって昨日はてんやわんやな1日だったんだから






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あの後山田くんの車が走り出し、隣に立つ慧の視線はジリジリと痛いままだった。





慧「あれはどっちのイケメンなの」





そう呟いた慧の表情はあの時、慧が弱って抱きついてきた時と同じだった



慧は今にも消えてしまいそうな、儚い、そんな風に見えた






『後輩の、、イケメンです…』




慧「へぇ、なんかモテてんじゃん
A」





『モテてる…？何言ってんのそんな訳な、』





慧「じゃあなんで、抱きしめられてんだよ」





抱きしめられていたところを見られていたことよりも、少し強く放たれたその言葉に胸が痛んだ。





本当は怖いと思うのが正解だったのかな、でもそんな感情なんて忘れてしまうほど…涙を流すその瞳は私の心を支配した。






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慧「ごめん、なんでもない………
白米と、お味噌汁。……まだ？」




昔から怒られても上手くすりぬけるのが得意だった慧はこんな時まで上手くすり抜けようとした。




まだ涙の跡が残るその頬を私は無視していいんだろうか




何故涙を流しているのかも上手く理解出来ない私に、｢考えてから行動する｣なんて理論は通用しないまま







『慧、泣かないで』







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私がその冷たい頬に触れるとまた涙が溢れ出す。





慧は私の手をそっと頬から避けて
「ごめんねやっぱり今日は帰る」と自分の家に向かって行った。





私はいつもそう。逃げられてばかりで、慧の本当の顔を見た事がない。





それはあの頃だってそう

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