愛されたいだけ ページ37
敵意がないのにこうも警戒されると少し心外だが、それほどのことを私はしてしまった。それに間違いはない。
だけど、私の求めているものはたったひとつなんだ。
「私はただ、"彼に愛されたいだけ"です」
「家族からの愛情も、友達からの友情も、全部生まれもったその時から私にはなかった。だから...クラピカがくれたものは私にとって初めての感情だったんです」
物心ついた頃には親の温かさも知らず冷たい施設で過ごした日々。今でも思い出したくないけど、あの場にいたからクラピカに会えたんだ。あの日、雨の中傘を差し出してくれた思い出があるんだ。
「それも疑わしいならそう思って構いません。誰が敵になろうと私はクラピカだけの味方ですので」
「...あぁー、そうだな。あまりにも一途で呆れたわ」
首を掻きながらテーブルに突っ伏す師匠に私は何が言いたかったのか全く分からずにいた。
「本当は化けの皮の1枚や2枚あると思って探りしれたけど、ただ単に愛が重いだけの純愛女だったなんてな」
「その言い方棘ありすぎじゃないですか?弟子に向かって優しさの欠片も無い...」
「まだ何か隠してそうなことに関して、今回は目を瞑ってやる。お前の本心も少しは分かった」
最初から私は怪しまれていたということか。それは確かに友達だった人を殺した奴なんて警戒するに決まっているしそれも仕方ないのかな...これでもまだ怪しまれてはいるけど。
「師匠ってクラピカ好きすぎですよね。だから隣にいる私に敵意向けるんでしょ」
「お前にだけは言われたくねェな!」
「絶対絶対にクラピカは渡しませんから!」
と、そう言って私は一時的に借りることになった部屋へと向かった。まぁ師匠が面倒くさがって私とクラピカは相部屋になっているが、その方が安心できる。
「私は...何も隠してないはず」
『――嘘つき。何人もの人を苦しめた殺人鬼』
あぁ。また聞こえてきた。
その声はどこか聞き覚えがあって、とても冷たく聞いていたくないような声だった。
私は耳を塞ぎ目を瞑るが、それも意味は無いようで声は耳元へ囁いてくる。
『――貴方はまだ彼にも話してないことがあるでしょう?』
「ないよ。記憶は全て戻ったの」
『――思い出したくないだけでまだあるわ。自ら消したくせに受け入れて欲しいなんて我儘なこと』
「違うっ!」
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僕です。(プロフ) - はにゃ?さん» ありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです😊応援に応えられるよう更新頑張りますね! (2023年4月15日 15時) (レス) id: 44f4c2417a (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ? - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年4月15日 2時) (レス) id: 1a9c7abd60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:僕です。 | 作成日時:2023年4月11日 17時