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よく考えてみたら、私が治といる理由がもう一つあった。
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「いい匂い…今日は何ですか?」
「昨日焼いたパン食べたいから、シチュー」
某日夜。大ぶりに切った具材を鍋でぐつぐつと煮込むシェフの後ろで、その手際の良さをじっと見守っていた。
治と私はほぼ毎日そろって夕食を摂る。その夕食を作ってくれているのは大体彼。
お世辞抜きで、治の手料理はものすごく美味しい。私も料理は出来るけど、治のそれとは全く比べ物にならない。
酒が飲めない上に手料理が死ぬほど美味しいなんて、もはやどっちが彼女なのか分からなくなってくる。
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「ついにパンを焼くようになりましたか…」
「美味すぎて頬っぺた落っこちんようにな。」
「ちょっと心配だな…。早く食べたい」
「もう少しやから、食器用意しといて」
「はーい!」
治に言われるがまま、私は上機嫌で食器やらスプーンやらをダイニングテーブルに並べ始めた。
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熱々のシチューと、治の焼いた小さくて可愛いパンは香ばしい匂いに食欲をそそった。
全ての準備が整うと、最後に彼が冷蔵庫から取り出したのは、夏を連想させるパッケージの缶だった。それを私の目の前に差し出すなりふわりと笑う。
「冷やしパイン味」
「えーなにその味、初めて見た」
「これ半分くらいなら特別に飲んでええよ」
「そんなのジュースだよ、お酒に入らない」
「ほろ◯いもお前にだけはそんなセリフ言われたく無かったやろな」
治は眉間にシワを寄せながら、プシュッとタブを開け、私の用意した2つのグラスにきっちり半分ずつ注いだ。治のアルコールゲージはこの缶せいぜい1.5本(検証済み)それをたまに気分で私と半分こして飲むのだった。
甘いパインの匂いが炭酸に誘われて鼻をくすぐった。
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兎海(プロフ) - 壬生桜さん» 嬉しいです!読んでくださりありがとうございます^^ (2020年7月19日 23時) (レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
壬生桜(プロフ) - あぁ。好き!こういう治いい!ますます治に惚れてまう! (2020年7月17日 3時) (レス) id: fa982b1939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:兎海 | 作成日時:2020年7月2日 23時