over dose.【ばぁう】【まひとくん。】

今日は、冷えるね。 ページ2

mahito.

m「...ちょっと、駄目かも。」

ぽつり、と零した本音。

レンガで組まれた地面を黒革のブーツで踏み締める度に、カツカツと心地良い音が鳴る。

此処最近、TikTokに上げてバズった音源のコメント欄が荒らされている。

有名になればなる程、批判する声は大きくなって行く。

何が嫌って、毎回毎回アンチコメントがコメント欄の良いねの最上位を占めるからだ。

アンチコメントに賛同する人がリスナーさんを上回ってしまっている。

どうする事も出来なくて、只見つめているだけの日々。

日に日にストレスが溜まって行き、発散する場所を見つけられずに居た。

でも、見つけてしまった。

イケナイコト。

そうだ、アカウントをBANさせれば良いんだ。

僕の視界から居なくなれば、それで良い。

パソコンで適当にアカウントを作って、大量の違反報告を運営に押し付けた。

凄く気分が良かった。

だけど、大きな罪悪感に苛まれた。

自己嫌悪に押し潰されそうだった。

そんな中での定期配信。

ネットて通じ合っているだけなのに、その場から逃げ出したくなって。

この配信では何十回でも、何百回でもコメントをするリスナーさん達は、

動画のコメントは控え気味と言うか、気を引いている。

その行動力に不満を持ってしまう自分自身が嫌いでならない。

なんとか配信を終えた後も、その事を引きずって涙を流すしか無かった。

気を使ってご飯に誘ってくれたばぁうくん。

誘われたレストランは、僕がいつか誕生日で来たいなぁと思っていた場所で。

ちょっとだけ浮かれた気分になった。

少し肌寒い気温の中、更に寒い風が体を撫でる。

薄めのトレンチコートの襟を掻き合せて、「寒いねー」なんて声を出す。

執事って、コスプレかよ。→←蒼の空、朱の空。

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