佰伍拾. 酩酊 ページ10
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【太宰 視点】
「…ドライ・ジンをショットで」
太「Aくん、少し飲み過ぎじゃない?」
「まだ飲み始めたばかりだよ」
いつもの酒場。
隣に座る彼は、今宵は先客だった。
マスター『…よろしいのですか?』
「?どうしてです?」
太「…出してあげてください」
…彼は滅多に酔わないが、どうやら既に酔っているらしい。
「これじゃまだ酔えないよ、」
太「もうこれで4杯目だろう?それも全部ショットだ」
「…今夜は酔いたい気分なんだ、太宰くん」
太「あとはもう弱いお酒にしておいた方がいい、これ以上は体に悪いよ、っ」
綺麗な瞳が、私を見つめている。
…彼は、何かに溺れたがっているみたいだ。
「…ねえ太宰くん、」
太「……何だい、」
「人を愛するというのは、どういうことなのだろうね」
太「…どうしたんだ、急に」
「僕にはわからないんだ。…愛することは信じることだと言うけれど、信じることが必ずしも愛とは限らない。
…愛しているという言葉は、僕には呪いの言葉のようだ」
彼はそこまで言って、手にしていた酒を一息に飲み干す。
カラン、とグラスの中の氷が落ちる。
太「…では、私が君に愛していると言えば、君は困ってしまうのかな」
「……太宰くん、?」
彼の細い手首を掴み、自らの頬に添える。
太「A、…私は君を愛している」
「っ、な、に言って……」
怯えたような表情が、私を見つめている。
…何故、彼は怯えているのだろうか。
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魔夜美(プロフ) - 更新頑張ってください (2017年5月3日 16時) (レス) id: a15b068210 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2017年3月27日 0時) (レス) id: 6d1c031c5c (このIDを非表示/違反報告)
栗医務 - やばみ (2017年2月27日 3時) (レス) id: 8c1f057850 (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - いつも楽しく読んでます^^ (2017年2月6日 18時) (レス) id: 77f45bf4f9 (このIDを非表示/違反報告)
ウェン - いつも楽しみにしてます!!これからも無理せず頑張ってください (2017年2月2日 18時) (レス) id: 8f2a77e445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2017年2月2日 13時