佰肆拾玖. 箱と伝言 ページ9
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「…やあ、お元気ですか」
ルイ「急に連絡をくださったので驚きました、Aさま」
「そんな呼び方しなくていいですよ、僕はそんな大層な人間じゃありませんから」
ルイ「でも、…いえ、急にどうなさったんです？」
「貴方に預けたいものがあって」
僕はそう言って、彼女に小さな箱を手渡す。
彼女は不思議そうにその箱を受け取る。
ルイ「…これは、？」
「もう随分昔にあの人に貰ったものなのですが、返し忘れていたみたいで」
ルイ「拝見してもよろしいですか、？」
「勿論。これはもう、僕のものではありませんから」
彼女はおずおずと箱を開ける。
…中身は指輪だ。
小振りながら、随分と豪華な指輪。
ルイ「…素敵な指輪ですね」
「ルイーザさん、彼に会えたら返しておいていただけますか」
ルイ「…本当に、よろしいのですか」
「では、もうひとつだけお願いをしても構いませんか」
ルイ「ええ、勿論です」
小さく息を吐いて、彼女を見つめる。
…彼女の真っ直ぐな瞳が、何故か胸を締め付ける。
「…彼が、本当に大切なものが何か気づいたその時に、この指輪を渡してください。
僕が彼を愛していたと、言葉を添えて」
ルイ「っ、Aさま、今からでも…」
僕は彼女の手をそっと握り、首を横に振る。
「僕はもう、あの人には会えない。ギルドにも戻りません。
…あの人が愛した僕は、もういない」
ルイ「っそんなことはありません、あの方は……」
「ルイーザさん、…ありがとう」
急いで指を鳴らし、時を止めて移動する。
…今夜は強い酒を飲もう。
今宵だけは酒に溺れ、すべて忘れよう。
自分の醜い感情や過去、名前も、何もかも。
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魔夜美(プロフ) - 更新頑張ってください (2017年5月3日 16時) (
レス) id: a15b068210 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2017年3月27日 0時) (レス) id: 6d1c031c5c (このIDを非表示/違反報告)
栗医務 - やばみ (2017年2月27日 3時) (レス) id: 8c1f057850 (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - いつも楽しく読んでます＾＾ (2017年2月6日 18時) (レス) id: 77f45bf4f9 (このIDを非表示/違反報告)
ウェン - いつも楽しみにしてます！！これからも無理せず頑張ってください (2017年2月2日 18時) (レス) id: 8f2a77e445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春海｡・:＋° | 作成日時：2017年2月2日 13時
