【文スト】陸 全身黒の、美しいひと。【男主】

佰肆拾伍. 彼の計画 ページ5

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【福沢 視点】









福「体の具合はどうだ」

「ええ、お陰さまで。
それにしてもやはり与謝野先生は名医ですね。古傷の方まで綺麗に」







Aは至って穏やかに微笑む。

…昨日撃たれたとは思えないほどの回復振りだ。







福「…狙撃犯はポートマフィアにて尋問を受けているらしいな。それと、太宰が発砲を」

「おや、ゴム弾だったのでは？」

福「…全て計画通りか？」


「さあ、どうでしょうね。少なくとも僕はあの場で、最善手を打ったと自負していますが」







思わず背筋が凍るほどの、微笑み。

…彼はどんな感情で、そのように美しく微笑むのだろうか。








福「…そうか」


「狙撃犯はまだ何も？」

福「ああ、報告はまだだ」

「もう既に何か吐いていてもいい頃ですが、手緩いんですかね？
何と言ってもポートマフィアですし、その辺は優れているかと思っていたのですが」







その黒髪を軽く弄びながら、彼はわざとらしく溜息をつく。

…その一瞬の仕草がどれほど恐ろしく見えたかは、言及しないでおく。









「そのうち確認に行ってきますね」

福「…ああ、それは任せる」


「ところで社長、ひとつだけ宜しいでしょうか」

福「何だ？」

「…お願いしたいことがあるのですが、聞いて頂けますか？」








緩やかにカーブを描く口元とは違い、真剣な眼差し。


その表情は、私がきっとその願いを聞き入れると確信しているのだろう。







福「…先ずは内容を聞こうか」

「ええ、そうですね」






…これだから、此奴の考えていることは分からない。


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