佰漆拾. 始まりと再会 ページ30
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【芥川 視点】
芥「もしもし。…何だ樋口か」
樋『芥川先輩!首領が…!』
芥「何?…判った」
電話を切り、ふと振り返ると彼が此方をじっと見詰めている。
「…今の電話、」
芥「、」
「矢張り、森さんが襲われましたか?」
…何故、判るのだろうか。
僕は静かに頷くと、彼は思案するように少し俯く。
芥「だが、何故貴殿がそれを」
「容易に想像出来ますから。
…芥川さん、今はこうしてお話し出来ていますが、次に会った時には屹度貴方は僕を襲うでしょうね」
芥「…それは、如何いう意味で」
「直にポートマフィアと探偵社は否応無しに対立する。
ですが貴方と闘り合うのは少々気が引けますね」
困ったように笑ってみせるその表情に、思わず目を逸らす。
…彼の美しさは、直視するには眩し過ぎる。
「貴方は強い。…その真っ直ぐさは、僕には眩し過ぎるのです」
芥「何を云って、ッ」
ぱちん、と乾いた音が響いたその瞬間、彼の姿は無くなっていた。
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【太宰 視点】
太「確かに人は皆罪深く愚かだ。…だからいいんじゃあないか」
ド「…情報を得る為、わざとここへ……」
撃たれた脇腹を抑えながら、奴を見つめる。
太「本の正体は1冊の小説だ。書いたことが真実となる白紙の文学書…」
組合の団長も手に入れようとしていた代物だ。
この横浜の地に在るとされる、1冊の本。
ド「ええ、私はその本を使って罪の…異能者の無い世界を創ります」
太「やってみ給えよ、……やれるものなら」
国『太宰!何処だ!?』
国木田くんの声が路地に響く。
来るのが遅い、と心の中で毒づいてみる。
ド「ではいずれ、『約定の地』にて」
去っていく奴の姿が、段々と霞む。
…意識が遠退いていくのが、自分でも判った。
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魔夜美(プロフ) - 更新頑張ってください (2017年5月3日 16時) (レス) id: a15b068210 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2017年3月27日 0時) (レス) id: 6d1c031c5c (このIDを非表示/違反報告)
栗医務 - やばみ (2017年2月27日 3時) (レス) id: 8c1f057850 (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - いつも楽しく読んでます^^ (2017年2月6日 18時) (レス) id: 77f45bf4f9 (このIDを非表示/違反報告)
ウェン - いつも楽しみにしてます!!これからも無理せず頑張ってください (2017年2月2日 18時) (レス) id: 8f2a77e445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2017年2月2日 13時