【文スト】陸 全身黒の、美しいひと。【男主】

佰肆拾参. 事情の説明 ページ3

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【乱歩 視点】









「乱歩さん、事情はもう聞きましたか」

乱「粗方ね。でもAからは聞いてない」







体を起こし、此方を見ているA。


…意識は正常だろう。







「…【超推理】は、もうなさったんでしょう？」

乱「勿論ね。でもこの件に関しては直接Aの口から説明してくれる？」





「構いませんが、殆ど乱歩さんの読み通りかと」

乱「仕方ないな、言い方を変えよう。…今からいくつか質問するから答えて」

「どうぞ」


乱「…何故、狙撃される方向とタイミングが分かった？」








穏やかな微笑みが、ほんの少し強張る。

…だがそれもほんの一瞬の事だ。








「随分昔に複写した異能ですよ。…使用したのも久しぶりです」


乱「…じゃあ二つ目。何故今日だったの？」

「人間というのは、場所と標的をランダムに変えることはできません。
…多少の作為がそこにある限り、相手の企てを推測するのは容易いことです」







穏やかな笑みとは裏腹に、その眼差しはどこか強さがある。

…まっすぐで、射抜くような瞳。







乱「全て思い通りだったってわけか。
…狙撃されるのも、自分が庇えば太宰が狙撃犯を撃つことも、結果ポートマフィアがそいつを捕らえることも、全部」




「…あれ、怒ってます？」

乱「まあ、約束破って太宰を連れ出すし、おまけに撃たれてるし？怒る要素は充分に揃ってるね」








そう言うと、彼は困ったように眉を下げて笑う。








「…では、何か埋め合わせをしなくてはいけませんね」

乱「じゃあ先ず手始めに、美味しい菓子を食べたいな」

「では今度、何処か良い店を探しておきますね」







ふふ、と笑う彼を見ると、何故か心が安らぐのは不思議だ。

この心地よい時間に溺れてしまいたいと、思うほど。




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