【文スト】陸 全身黒の、美しいひと。【男主】

佰伍拾伍. 役割 ページ15

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【国木田 視点】









「…さーて始めるよ、国木田くん」

国「ええ」







彼はそう笑って、俺の手を握る。


空いている方の手で指を鳴らせば、世界は動きを止める。






今日の仕事は組織(？)の掃討だ。

…一連の異能力者殺害事件の犯人と思われる組織が、このビルにいるという。







「…気絶させるだけでいいよね」


国「いいと思います」

「本音言ってもいい？」

国「…どうぞ」

「いたぶってやりたい」







そう言いながら、建物内の人間の鳩尾に拳を入れていく彼。


何だか退屈そうなのには触れないでおく。








国「…この人数は大変かと」

「僕もそう思う…っと」







鮮やかに人々を倒していく彼。

サポートをしろ、なんて彼は言ったが、ほとんど彼だけで問題は無いはずだ。




…だが、それでも彼が俺を連れてきたのには。








「…思ったより人少ないね」

国「そうですね…」


「さて、最上階まで来たけどどうする？」

国「挨拶でもしますか？」

「人数確認してからにしようか」







最上階の部屋の扉を開け、人数をざっと数える。

…12人か。





彼は拳銃を二丁持ち、その手を見つめている。








「…ねえ国木田くん」

国「何です？」


「今日の僕は二日酔いみたいでねえ…少々気分が優れないんだ」






そこまで言って、彼はようやく俺の方を見る。


…その顔は、いつもの穏やかな笑顔だ。







「…だから僕が彼らを殺さないように見張っててくれる？」







…この人は正常な判断のために、俺を連れてきたのだろう。

それならば俺は、自分の役割を果たすまでだ。





Aさんが、自分を見失ってしまわないように。


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